お店の印象を左右する接客

1.お客様にとっての良い店員とは

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お客様が来てくれなければ店は成り立ちません。お客様は店に何を求め、期待して来てくれるのでしょうか?

品ぞろえ・価格・アクセスの良さ・サービス…そして忘れてはいけないのが「店員の印象の良し悪し」つまりは接客の態度です。

1.お客様にとっての良い店員とは

◇見た目の印象

清潔感

どんな商品を扱うかに関係なく、一番重要なのが清潔感です。

髪型・化粧・服装・手先(爪)など、基本的な身だしなみは店の印象の良し悪しを決める最低条件と言っても良いでしょう。

店頭に立つ前にまずは身だしなみのチェックを必ずしましょう。

お客様の目線から見た、好印象な身だしなみとは?

清潔感はどの業種にも共通した条件と言えますが、もう一方で服飾品などを扱う店の場合、「この人にアドバイスしてもらっても…役に立たないだろう」と思われるような服装では接客以前の問題です。

お店に入って、ああこんな店員さんのようにおしゃれをしてみたいなあと思わせたら、身だしなみとしては合格ですね。

笑顔

店に入った瞬間、店員さんが元気な挨拶をしながらにっこりとほほ笑んでくれるか、ちらっと見るだけ、無愛想でにこりともしない、どちらの印象が良いかは言うまでもありません。

お店に来てくれたことを歓迎する気持ちを表すのに、言葉だけでなく笑顔は欠かせません。

よい印象を持ってもらうにはこんなタイミングで笑顔を見せるのが効果的です。

→来店時にこんにちは、いらっしゃいませの言葉とともに

→お客様に何か問いかけられたとき、「はい、何でしょうか」と「あなただけに」微笑む

→精算などすべてが終わったところで、感謝の意味を込めた笑顔

といったタイミングです。

これらのタイミングに意識しすぎた作り笑いではなく、自然な笑顔が見せられれば好印象間違いありません。

買って下さいオーラは消しましょう

あの店に入ると、すぐに店員さんが「買って下さいオーラ」全開の作り笑顔で寄ってくる…何か入りにくい、本当に買うつもりの時しか行けない、と思って足が向かない店に心当たりはありませんか?

人は「買ってくれ」というプレッシャーの様なものを感じると、買う意欲が失せてしまいがちです。

店に入る前から買うことをはっきり決めている人は多くありません。

店に入ってみて、商品を手にとって「ほしい」と思えるものがあれば買いたいと思って店に来ている人がほとんどと考えましょう。

「買って下さいオーラ」はお客様に購買意欲が感じられたここ一番の肝心な時だけ出すようにしましょう。

◇挨拶

「いらっしゃいませ」とお客様に声をかけた瞬間から、声をかけた側とかけられた側に、店員と客という関係が成立します。

お客様に店員がいらっしゃいませ、と声をかけるのはごく当たり前のことです。

元気に「いらっしゃいませ」と言われたら、明るい店だなと思うでしょう。

決して悪い印象は持たれないはずです。

一方、別の視点で考えましょう。

店に来る人すべてに「いらっしゃいませ」だけを言うのは型通りの印象を与えることもあります。

ちょっと何かないかみるだけのつもりなんだけど…

買わないで帰るかもしれないけど…

というお客様にとっては「買わないといけないような」プレッシャーを与える可能性もあります。

「いらっしゃいませ」=「買って下さい」に聞こえることもあるのです。

そこで、「いらっしゃいませ」ばかりではなく、店内に足を踏み入れたお客様にまずは

「こんにちは」「おはようございます」の挨拶にしてみてはどうでしょうか。

挨拶だけでは何か足りないのでは?と不安ならば、その後、「ご来店ありがとうございます」という言葉を添えても良いかもしれません。

また忘れがちなのが、何も買わずに帰る人に対しての挨拶です。

何も買わなかったというのは、欲しいものが無かった、あるいは接客態度等何らかの不満を感じた等々理由があるはずです。

そんな場合、店にとっては自身の不備を見直すチャンスを与えてもらったことと同じです。

または、今日は何も買わないけれど、この店にどんな商品が置かれているか今回の来店でわかったから、後日購入しに来てくれるかもしれない可能性を秘めているのです。

ですから何も買わないで店を出る人にも「ありがとうございました」「またお越しください」など声をかけましょう。

◇話しかけるタイミング

話しかける前に

話しかける前にまずしたいのが、話しかけようとする相手と目線を合わせることです。

これから接客してよろしいですか?の気持ちで軽く視線を合わせてみましょう。

よければそのまま視線を合わせ、話を聞いてくれるでしょう。

必要ない、放っておいてほしい場合には視線をそらすかもしれませんね。

まずは視線で接客を必要としているかどうかの確認をしましょう。

→お客様が接客して欲しいと思っているときには、何らかのアクションが見て取れるはずです。

・一つの商品をじっと見ている

・何度も手にとって見ている

・あたりをきょろきょろ見回している、だれか探している

・POPをじっくり呼んでいる

・一度見ていた商品の前にまた戻ってきた

こんな時、お客様は「店員に聞きたいことがある」可能性大です。

そっと近づいて、声をかけてみましょう。

そっとしておくお客様

買い物に来るお客様の中には、自分でじっくり選びたいお客様、店員のアドバイスや説明を必要としないお客様もいます。

お客様は必ずしも店員とコミュニケーションをとることを望んでいないということです。

いらっしゃいませ、何かお探しですか、いかかですか…と二言三言声をかけても返事をしていただけない、自分の方を見ようとしないお客様は「構わないでください」と意思表示しているのです。

そっとしておきましょう。

「何かありましたら声をかけて下さいね」とだけ言い添えてそっとしておくのが賢明です。

決まった言葉はマニュアル通りの印象

店内をうろうろと歩くお客様に向かって、「何かお探しですか?」と声をかける…。

洋服を見ていると「今日はどんなお洋服をお探しですか?」

「よかったらご試着して下さいね」と言われた経験はありませんか?

どちらもマニュアルにありがちなパターンです。

ある特定のものや自分の体形に合う服を探しているお客様にとっては、ちょうど良い問いかけです。

一方で「特に買うものは決まってないけど、何か良いものがあれば買いたい」人にとっては、あまりありがたい問いかけではありません。

服だって、とりあえず広げて全体のデザインを見たいから手に取っただけで、まだ実際に試着してみようとまでは思っていないかもしれません。

あくまでもお客様の様子を見て臨機応変に声をかけることが大切です。

同じ内容でも言い方を変えてみよう

A 今購入すると粗品がもらえますよ。

B 今購入するとプレゼントがもらえますよ。

→ここでは粗品かプレゼントかということなのですが、どちらの方が「欲しい」と思うでしょうか。

C 今若い女性に大人気の商品です。

D 女性に人気の商品です。タレントの○○さんも使っているそうですよ。

→具体的な個人名を挙げることで説得力がアップします。

同じ商品やサービスを伝えるのに、言葉を変えたり、固有名詞を加えることで聞く側の受ける印象も変わります。

言葉選びを慎重にしましょう。

◇話し方

お客様は友達ではありません

マニュアル通り、同じ言葉ばかりを使うのはお勧めしない、と前項まででも触れましたが、あくまでも堅苦しい印象をなくすための話です。

お客様と店員という関係をないがしろにしていいということではありません。

友達とショッピングしているかのようになれなれしい言葉遣いで

「よく似合うよー」や「よかったら着てみてね」

と話しかけるのは悪印象です。

あくまでもお客様ですから、丁寧な言葉で

「よくお似合いですね」「お気軽にご試着どうぞ」と話しましょう。

触れてはいけない話題

お客様とより親しくなろうとして、いきなり年齢や職業など個人的なことを聞いてしまうのはNGです。

何度もご来店いただいて親しいお客様ならまだしも、初めて行った店で、いきなり店員さんに個人的な情報を聞かれたらどう思うでしょうか?

決して良い印象は持たないでしょう。

特に女性に年齢をズバリ聞いてしまうなど、タブーです。

商品をお勧めするにあたって、どうしても個人的な情報も知りたいなと思ったら、

まずは店員自身が「私、独身なんですけど」、「私ここで働く前に○○の仕事してたんですよ」など自身の情報を明かしてみてはどうでしょうか。

その時のお客様の反応を見て、反応が良ければそういったことを尋ねると、お客様の気分を害するという失敗は未然に防げるかもしれません。

◇提案の仕方・内容

いきなり商品説明する前に

店で商品を見ていると、店員さんが近づいてきた…これを買うように勧められる!と身構えたことはありませんか?

こんな風にお客様が身構えてしまうのを防ぐために、商品説明をいきなりはじめてしまわずに、ちょっと商品と関係のない話題を取り入れてみるのはどうでしょうか。

今日は暑いですねー。

急に暑くなりましたねー。

今お持ちのお鞄、素敵ですねー。

というように、目の前にある商品のことには触れない話題を一つ取り入れてみてください。

警戒心を取り払うのに役立ちます。その後の接客がし易くなります。

ベネフィットを提示しましょう

お客様にとって物を買う際に大事なこと、それは目の前にある商品を買うことでどんなメリットを得ることが出来るのかです。

この商品購入後のメリットをベネフィットと言います。

「この商品を使うと肌の調子が良くなりますよ」

「日頃の運動不足が解消できますよ」

「お掃除が楽になりますよ」

「水道代が節約できますよ」

などなど、商品を買うことによって得られるベネフィットを具体的に、わかり易く伝えましょう。

提案をすることで購入したい気持ちを強くしてもらう

衣料品店などで、とあるブラウスを購入しようかどうか迷っているとしましょう。

店員さんはそのブラウスがどんなに着やすく、上質であるかを説明するだけでなく、その他の洋服とどのように合わせて着ると良いか、どんなふうに着こなし出来るか、実際に店内の他の服と合わせて着こなしの方法を提案してくれることがあります。

その提案を見ているうちに、お客様は自分の家にある他の洋服とそのブラウスを合わせたイメージが浮かんできて…購入したいという気持ちになる。

そうなれば接客の甲斐があったと言えるでしょう。

商品の性能や品質の良さをアピールするのはもちろんですが、他の商品と組み合わせると様々な用途があることや、生活のあらゆる場面でいろいろな使い方があるというように、提案の内容に幅を持たせることも購入につなげる有力な方法です。

話を膨らませる工夫を

商品購入後のメリットを伝えましょうということは先に述べました。

このメリットも、購入した人自身のごく身近に感じられるメリットから、もっと規模の大きいメリットへ話を広げる工夫をしてみましょう。

お客様も聞いていて楽しくなるような膨らませ方とは?

例えば、

この食器洗浄機をお使いになると、ご家庭の水道代が減りますよ

    →地球の環境にも優しいです。

    →お子様や地球の将来のためにエコな電化製品をぜひ!

といったように、自分にとって便利なものが、お財布にもやさしい、ひいては地球環境にも優しい…というように話を徐々にスケールアップしてみてください。

限定で動機づけ

商品の良さを伝え、お客様も興味を持ってくれた…しかし、今どうしても購入して欲しいという最後のひと押しをする理由づけが難しいと感じたことはありませんか?

お客様も今でないと、という必要性をあまり感じていない様子…。

こんな時は、「今買わなくては」いけない動機づけが必要となります。

→「本日会員様でしたら割引価格でご購入いただけます」

→「本日お買い上げいただくとポイントがいつもより○%アップしておつけ出来ます」

→「数量限定のプレゼントがあるのですが残りわずかです」

→「この商品、今店頭にあるだけでその後の入荷は未定です」

といったように、「今買わないと損」という限定的な動機づけでお客様に今買うという決心をしてもらいましょう。

接客の時間

商品に関係のない話題から入って商品説明、商品購入後のメリットを様々なスケールでお伝えして、今買って欲しいアピールもした、しかしお客様は決断しかねている…

こんな時もあるでしょう。

こんな時は時間をかければ必ず買ってくれるということはありません。

むしろしつこく商品説明をすると、結局は商品の良さどうこうではなくて、売りたいだけなんだろうという印象を与えかねません。

商品の説明やお客様に尋ねられた質問など一通りの話を終えたら、一旦そのお客様からは離れてお客様自身の判断を待ちましょう。

お客様自身が買うという決断がつけば、その際は向こうから自分の方へ寄って来てくれます。

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