分かり易い文章の書き方

5.読み手の心をつかむ文章

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要所は具体的に書く

文章は具体的であることが大切ですが、要所に関しては特に具体的に書く必要があります。そうしないと、文章全体のイメージが読み手に伝わらないことがあるからです。

感情は「事実」を描写して表現する

感情表現は、たんに「怒った」「悲しい」などとは書きません。
怒りの一字、悲しみの一字を使用禁止にすることにより、書き手は「何がどのように腹立たしかったのか」「何がどのように悲しかったのか」という事実の観察をすることになります。観察すれば観察するほど、文章まで磨かれます。

名文句の引用は本来の意味に気をつけて使用する

名文句を引用する際の注意点があります。
 1.意味を取り違えて用いないことです。
 間違えて使ってしまうと全文の意味が壊れてしまいます。

 2.表向きの言葉の裏に隠された真意を読み違わないことです。
 1よりマシですが、生半可な知識をひけらかしたことで、反感・嘲笑の元となります。

「私」を文にいれるかどうかの基準とは

文章を書く際、「私」を文中に登場させたほうがいい場合と登場させないほうがいい場合があります。
まず、「私」を強調すると自己アピールがしつこくなりすぎます。
しかし、軽いテーマの内容には「私」を入れたほうが、印象は残せます。
上記のポイントをふまえて、ひとつの文章の中に「私」を登場させて自己主張がしつこくなるかならないかを判断の目安にします。
そして、文章全体のリズムを考えながら「私」を登場させたり、させなかったりします。

修飾語を省く

文章を凝ろうとすると、つい修飾語が多くなりがちですが、あまりに修飾語が多い文章は、読みづらく、読み手には不親切になります。文章力の上達には、あえて修飾語を省く意識も必要です。
修飾語には、体言(名詞)を飾る体言修飾語と用言(動詞・形容詞)を飾る用言修飾語の二種類があります。
修飾語は、一種のアクセサリーです。托鉢僧のように身ひとつになるようにとはいいませんが、アクセサリーはピンポイントにしぼらないと逆に際立たなくなります。

「です・ます」調と「である」調は的確に使う

「です・ます」調と「である」調が混在した文章は違和感を与えますが、あえてどちらかに統一させないことで文章に味わいをもたせるという手法があります。しかし、ふつうの文章を書く場合、「です・ます」調と「だ・である」調と、さらに「体言止め」を混在させることは、けっこうむずかしいものです。対処法としては、基本的に書いた文章を音読してみるなどして、文章の調子を整えながら作業していきます。

倒置法は、その印象に気をひきつける

倒置法とは、文章の語句をふつうの語順とは逆さまにして文末を強調させる手法です。使い方によっては巧みな文章表現になりますが、注意が必要です。

あいまいな言い方は断定形に直す

説得力のある文章を書くためには、語尾をできるだけ「断定形」にするべきです。ぼかした言い方ばかりでは読み手の心には何も伝わらないからです。
「・・かもしれない」「・・あるまいか」「・・だろう」「・・だろうか」という、推定もしくは気になるような終わり方をしてしまっている文章では、読み手を説得することはできません。すべての文を断定しなくてもいいのですが、自分がここぞと言いたいことは断定しておかないと読み手に印象も残せず文章にも波がでてこないので気をつけるポイントです。

結び方の欠点とは

文章は書き出しが大切ですが、同じように結び方も大切です。終わりよければすべてよし、というように少なくとも結び方が凡庸だと、どんなに内容がよくても読み手の心には残りにくいものです。

改行の使い方

改行のない文章は、文字がぎゅうぎゅう詰めに詰まりすぎて見にくく感じ、逆に改行の多い文章はスペースがあり見やすく読みやすいです。
改行と文体がかみ合っている文章は、読み手からするとリズムにのって読みやすいといわれるぐらいです。
改行は少なすぎて困ることはあっても、多すぎて困ることはまずありませんので、躊躇せず使用します。

イメージを伝えるときは、カタカナを使う

漢字で表現するより、カタカナ表記にしたほうが言葉のイメージが伝わりやすいといわれます。
ただ、やたらとカタカナで表現すると意味合いが変わったり、文章がうるさくなることがあるので注意が必要です。
カタカナは皮肉、からかい、ユーモア、自嘲などのニュアンスを伝えたり、意味を軽くしたりするときに使われることが多いです。むやみにカタカナを使うと意図しない意味が出てしまうことがあるので、それだけは要注意すべき点です。

読み返すという作業の利点

自分で作成した原稿は意外と読み返さないことが多いものです。
しかし、小説家は書いている時間より、読み返している時間のほうが長いといわれています。なぜなら、読み返すことによってメリットがあるからです。

  1.正しい日本語になっているか。
  2.わかりにくい部分はないか。
  3.誤字、脱字はないか。
  4.独りよがりの表現はないか。
  5.言葉が足りない部分や逆にカットしたほうがいい部分はないか。
  6.文章のリズムはいいか。
  7.その内容で本当に自分は満足できるのか。

上記の重要ポイントを確認できます。
普通に読み返すのではなく、声にだして読んでみると文章の流れがわかってきます。
さらに、しばらく間をあけて読み返すことです。それは書きたてのときよりも一晩、間をあけて読み返したときのほうが冷静な目でチェックできるからです。これは非常に効果的です。
自分で読んでわかりにくければ、他人が読んでもよりわかりにくい文章になっています。また、わかりにくい文章は改良して直すより、ばっさりと書き直すか削ることをおすすめします。そうすることで別のアイディアがわいてきて、また新たな文章の発見になるからです。
文章は、何度も何度も読み返すことにより磨きがかかってきます。
文章とは不思議なもので、書き進んでいる最中や推敲段階で当初の構成より思っても見なかった内容に転がることもあります。実はこれが文章を書く醍醐味ともいえます。
最初に想定した結論にこだわる必要はないので、リラックスして書くことをおすすめします。

パソコンで作成したら必ずプリントアウトをする

パソコンで作成すると削除、挿入、移動などが簡単にできますが、読み返すときは必ずプリントアウトして読み直します。それは、プリントアウトすることで読み返しする間ができるということ、プリントアウトすることによって、パソコンの画面よりたくさんの文章が一度に目に入るため、文章全体のリズムや論理の展開がよくわかるからです。
文章を書きはじめた方には、原稿をすべて書き終えた時点でプリントアウトして読み返すより、原稿用紙1~2枚程度書いたら、そのつどプリントアウトして修正することをおすすめします。面倒に思えますが、結果的には短時間で完成度の高い文章ができます。

三割長く書いて、三割削る

最初に書き上げた文章には、まず間違いなく不要な文がでています。余分な接続詞や形容詞はもちろん、同じような意味の文章が二回出てきたり、言わずもがなの言い回しがあります。これは書いた当人は書いた時点では、決して不要とは思わないからです。
誰しも自分の書いたモノには愛着が出てしまい、それを削るのはもったいないと思います。書いた文章の形容詞や言い回しに存在理由を見つけようとしてしまいます。
しかし、文章は削ったほうが100%よくなります。たとえば800字詰めの原稿に対して、最初から1000字書き、あとから200字削ります。こうすれば削るために、削れそうな形容詞や言い回しに優先順位をつけて下のものから強制的に削っていけるからです。
削るときは少しずつではなく、ばっさり削ることです。枚数が多くなるにつれて、少しずつ削っても小手先の直しにしかすぎないからです。
思い切って削ることで、本当にいいたいこと、重要なことだけが残ります。

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