印刷について

5.特殊印刷について

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一般的な印刷とは異なり、特殊な加工やインキを使用した印刷のことを特殊印刷といいます。印刷物の内容に適した特殊印刷を利用することで効果的な印刷表現が可能となります。

● 特殊な印刷加工

#1#箔押し

熱と圧力によって、薄を被印刷物に転写する印刷方法で、ホットスタンピングとも呼ばれています。金版は真鍮・銅合金が一般的です。箔押しできる素材は紙・布・プラスチックなどで、利用範囲はパッケージ・書籍の表紙・グリーティングカード・布製ののぼり・家電にまで及び、高級感を付加する方法として利用されています。また手作業による加工も可能なので、ノベルティの名入れのような小ロットのニーズにも対応しています。

#2#フォトエッチング

エッチングとは、金属版面を酸で腐食させることによる凹版技術の1種です。グランドと呼ばれる防触膜で覆った銅板をニードルという針で引っかいて絵を描きます。針で削られた部分には金属面が表れるので、その銅板を酸で漬け、金属面を溶かし、へこみを作ります。この銅板にインクを付けて写真製版技術を組み合わせたものがフォトエッチングです。まず金属の表面に感光剤をコーティングし、表面に写真原板をセットし、光を当てて感光させます。それを現像すると、写真の絵柄やパターンが金属面に移されるのです。この技術はエレクトロニクス部品の微細加工のほか、銅板やステンレスのアクセサリー、インテリア用小物などで使用されています。

#3#隆起(バーコ)印刷

隆起(バーコ)印刷は、熱によって膨らむパウダーを印刷物に付着させ、加熱することでパウダーが溶解・膨張して絵柄などを盛り上げる技術です。印刷方式はオフセット印刷方式です。下地の絵柄を印刷した後、隆起処理が必要な部分に別版で印刷し、インキが乾かない内に樹脂粉末を振りかけます。余分な樹脂粉末を取り除いてから加熱処理をすると隆起パウダーが膨らみ、きれいな盛り上がりを表現することができます。最近は名刺やグリーティングカードなどで利用されることが多くなってきました。同じような効果が得られる印刷方式として発泡印刷もありますが、隆起(バーコ)印刷に比べて光沢が少し弱めで、壁紙などによく使用されています。
発泡印刷
熱により発泡する材料を使って、表面に凸凹のある形状を作成する印刷方式。

#4#スクリーン厚盛り印刷(質感・重圧感を演出)

印刷面にインキを厚く印刷し、インキ自体を紙の上に盛り上げる方式をスクリーン厚盛り印刷といいます。印刷物の製作パターンは、通常の絵柄部分をオフセット印刷方式ほで印刷し、その上から強調したい部分にスクリーン厚盛印刷を用います。この印刷にはUVスクリーンインキという特殊なインキを使用します。名刺や年賀状にも使われています。

#5#植毛印刷(フロッキー)

織物やカーペットのような、一見印刷にはみえない感触が得られる技術を植毛印刷といいます。紙や布に折り物のような効果を与える印刷手法です。まずオフセット印刷方式で通常の絵柄を印刷し、植毛部分にスクリーン印刷方式で糊を印刷します。そして糊部分にパイル(繊維を細かく裁断したもの)を付着させ、静電気で垂直に立たせていきます。植毛できる素材には紙・プラスチック・木材・ガラス・金属などがあり、用途はぬいぐるみ・宝石箱の内貼り・コースター・盲人用絵本・自動車の内装などがあります。

#6#点字印刷

点字印刷は、用紙をインキで盛り上げる・紙そのものに凸凹を付けるなど、いろいろな印刷技術が応用されています。透明な発泡インキで普通の文字を印刷した上に点字を印刷する隆起印刷、直接紙に凸凹を付けるエンボス印刷、樹脂を吹き付けて点字を印刷する固型印刷など、様々な方法が使われています。印刷後は、背景の部分を糊で固め、表紙を付けて点字本を完成させます。製本方法には開きやすいリング製本や簡単なホッチキス製本が用いられています。

● 特殊なインキ

#1#香料印刷(香料をマイクロカプセルに封じ込む)

香料印刷と呼ばれる方法は、食品や花などの香りを印刷して嗅覚に訴えることができます。例えばパンフレットなどに花の写真を印刷しておき、写真をこすってもらうと香りがするという印刷物です。インキ自体に細工がしてある印刷で、様々な香料をマイクロカプセルに封じ込めたインキを使用しています。香りの種類は様々で、果物・食品・石鹸・花に至るまで多種多様な香りがあります。匂いを連想させる写真や絵柄と組み合わせてレイアウトすると効果的です。写真・文字をオフセット印刷、香り付けをスクリーン印刷という2工程で行うのが一般的です。

#2#液晶印刷(液晶をマイクロカプセル化)

温度によって色が変化する印刷物の1つが液晶印刷です。温度で色が変わる特性を持つ液晶をマイクロカプセル化した、液晶インキと呼ばれるインキを使って印刷します。用途としては、温度計・体温計・ヘルスチェックカードなどに利用されています。まず文字・絵柄をオフセット印刷方式、またはグラビア印刷方式で印刷しておき、その後液晶を封じ込めたマイクロカプセルを壊さないようにスクリーン印刷方式で印刷します。

#3#感熱印刷(温度で色が変化)

温度によって色が変わる印刷には、感熱印刷もあります。温めたり冷やしたり温度を変えることで、色が変化したり無色のところに色が現れたりします。この印刷には染料タイプの示温インクを使用します。染料、染料を発色させる物質、温度によって発色をコントロールする物質(減感剤)の3種類をカプセルに封じ込めます。感熱印刷にはオフセット方式・スクリーン方式・グラビア方式などが使用可能で、素材は紙・プラスチック・布など色々なものに対応できます。

#4#蓄光印刷(暗所で光る)

光エネルギーを蓄える性質を持つ蓄光顔料を練り込んだインキを印刷に利用し、暗い所でも光る印刷を蓄光印刷といいます。発行色は青・緑・黄色・橙色などで、1~10時間継続して光ります。紙に印刷する場合は、全体の絵柄をオフセット印刷方式で印刷し、蓄光部分は線画、またはベタとしてスクリーン印刷方式で印刷します。

#5#スクラッチ印刷(銀色インキを削りとる)

スクラッチカードで知られるスクラッチ印刷は、まずオフセット印刷で隠したい部分を含めたカード全体を印刷します。次に隠したい部分の上に透明なOPニス(オーバープリントニス/無色透明で耐水性や耐摩擦性を加えるために印刷物に塗る表面加工の1つ)でコーティングをし、その上にスクリーン印刷で銀色のスクラッチインクを厚めに印刷します。これが被膜となるので、コインなどでこすると、文字が出てきます。

#6#水転写印刷(濡らして写すペーパータトゥ)

転写紙を水に濡らし、印刷された絵柄を転写したいものの表面に張り合わせて、転写紙を剥がし、印刷インキの被膜のみを転写する方法を水転写印刷といいます。ベースの紙に水溶性の剥離層を設けて、その上に絵柄を印刷します。さらにその上に、接着層をコートして、転写したいところに貼りつけてから、水分を与え剥離層を剥がします。剥離層・絵柄・接着層は全てスクリーン印刷方式を使用するのが一般的です。

#7#デコマット印刷(鉛筆でこすると絵柄が出る)

鉛筆でこすると、鉛筆の粉が無色のインキ部分に付着して絵柄が表れる技法をデコマット印刷といいます。デコマット印刷部分は、グラビア印刷方式かスクリーン印刷方式で印刷して、使用される紙はコート紙(上質紙では濃淡が出にくい)が一般的です。

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