印刷の種類と印刷業界

4.印刷インキについて

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印刷に欠かせない要素であるインキは、新聞、本、包装、衣類、木材、プラスチック製品、電化製品など私たちの身の回りの様々なものに使われています。

印刷技術の発達とともに、用途に合わせて多くの新しいインキが開発されています。近年では環境・安全・健康を考えた技術、製品の提供が推進されています。

スペース スペース (環境対応型インキ)
ポスター、雑誌
チラシ、カタログなど
左右 平版インキ 植物油インキ
大豆油インキ
ノンVOCインキ
UVインキ
スペース
新聞、スポーツ新聞
業界紙など
左右 新聞インキ 植物油インキ
大豆油インキ
スペース
紙袋、段ボール箱
包装紙など
左右 樹脂凸版インキ 水性インキ
植物油インキ
大豆油インキ
グリコールインキ
UVインキ
スペース
化粧合板、通販カタログ
携帯電話、菓子袋など
左右 グラビアインキ ノントルエンインキ
水性インキ
スペース
車のパネル、携帯電話
看板、CD、DVDなど
左右 スクリーンインキ 水性インキ
UVインキ
スペース
液晶テレビ、プラズマテレビ
電子基盤など
左右 特殊機能インキ

<印刷インキの原材料>

印刷インキは大別して顔料とワニス(ビヒクル)を主剤とし、これに若干の添加物(補助材)を加えた3つの要素からなっています。

顔料は印刷物の色再現に重要な役割を果たしています。

ワニスは油脂類、天然樹脂、合成樹脂等を溶剤に溶かしたもので、顔料を分散し、印刷素材に転移、固着させる働きをします。

添加剤は乾燥性や流動性等いわゆる印刷適性や印刷効果を調整する機能があります。

これらの原料は、天然物から石油化学製品に至る多種多様な物質で、用途適性に応じて使い分けられています。現在では環境に配慮した石油化学製品や、大豆油などの植物油を印刷インキの成分として利用しています。

【植物油インキ(大豆油インキ)】

高沸点石油系溶剤をできるだけ減らして、大豆油、亜麻仁油、桐油、パーム油、ヤシ油、米ぬか油などの各種植物油に置き換えたインキが植物油インキです。

構成成分として大豆油を使用したインキが大豆油インキです。

【植物油インキ(大豆油インキ)】

高沸点石油系溶剤をできるだけ減らして、大豆油、亜麻仁油、桐油、パーム油、ヤシ油、米ぬか油などの各種植物油に置き換えたインキが植物油インキです。

構成成分として大豆油を使用したインキが大豆油インキです。

【ノンVOCインキ】

VOCとは「揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称」で、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどもVOCの一種です。これらは大気汚染の原因ともなり、排出削減が求められています。構成成分中のVOCを植物油などに置き換えて、1%未満に抑えたインキのことをノンVOCインキといいます。植物油インキよりもさらに進んだ環境に優しいインキで、主に枚葉平版インキで実用化されています。

【UVインキ】

UVインキは、紫外線(UV)の照射でインキが硬化・乾燥して強固な皮膜を作ります。このインキはVOC成分が極めて少なく、大気環境保全に優れた環境対応型インキです。

UVインキは脱墨しにくいため古紙再生処理に適さないと言われてきましたが、通常の平版インキと同じように脱墨しやすいリサイクル対応型UVインキが提供されるようになりました。

【ノントルエンインキ】

ラーメンやスナック、レトルト食品などの袋は、プラスチックフィルムにグラビア印刷されています。いろいろな種類のプラスチックフィルムが用途に応じて使い分けされています。このため、特殊グラビアインキは、多種多様の樹脂や溶剤が使用されてきました。中でもトルエンはインキの性能や印刷適性がよいことから、使用されています。

一方、トルエンは大気汚染の原因ともなるため、作業環境の管理濃度が20ppmまで引き下げられています。その排出を極力抑えるため、インキのノントルエン化が進むことが予想されます。

日本インキ工業連合会では、トルエン含有量0.3%未満のインキをノントルエンインキと定義しています。

【水性インキ】

水性インキは、有機溶剤の替わりに水を使用したインキで、主な用途は建材、紙、フィルム等です。

2007年度の水性インキの生産量は6,400トン強で、特殊グラビアインキ全体の5.4%強に留まっています。

現在、水性インキの使用にはインキや機材の技術的課題が残されていますが、関連業界の協力を得て、さらなる研究開発が進められています。

<印刷インキができるまで>

各種印刷インキは、それぞれの要求特性に適した原材料を選択し、製造されます。

印刷インキは大別して、高粘度ペースト状インキと低粘度液状インキに分けられます。

高粘度ペースト状インキは平版・オフセット版・凸版などに、低粘度液状インキはグラビア・フレキソなどに主に用いられています。

製造工程

1.ワニス製造

合成樹脂、乾性油、溶剤などをワニス釜で加熱(または攪拌)溶解してワニスをつくります。

2.プレミキシング

ワニスと顔料をミキサーまたはニーダーでプレミキシング(配合)します。

3.精肉・分散

アジテーターミルや三本ロールミル(ペースト状インキ)、サンドミルやアトライター(液状インキ)といった装置を使って精肉し、希釈ワニス、溶剤などを加えてベースをつくります。

4.調整

色調、粘度調整、品質チェックを行います。

5.充填

大ロット製品はローリーやドラムに、中小ロット製品は石油缶や1kg缶に充填、ラベルを貼って出荷されます。

<環境対応型インキ>

主な印刷方式で用いられるインキには、それぞれ環境に対応したインキがあります。

【環境対応型平版インキ】

現在の平版インキのほとんどは、芳香族成分を含まない高沸点石油系溶剤を使用したインキです。高沸点石油系溶剤は合成樹脂を溶解し、印刷適性を得るために重要な役割を果たしています。

環境対応型平版インキの生産比率は、UVインキ4.3%、大豆油インキ74.2%、ノンVOCインキ0.9%で79.4%を占めています。

【環境対応型グラビアインキ】

特殊グラビアインキ全体にみる環境対応型インキの生産比率は、ノントルエン型48.9%、水性インキ5.4%で、全特殊グラビアインキの54.3%を占めています。

【環境対応型フレキソ(樹脂凸版)インキ】

フレキソインキは段ボール用途が多く、主に水性インキやグリコールインキが使用されています。環境対応型インキの生産比率は94.6%です。

(※統計数字は『印刷インキ工業連合会』2007年度アンケート結果によるものです。)

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