2011年の包装業界

5.高齢者や障害者に優しい包装

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1節:ユニバーサル・デザイン

障害を持つ人の障害とならならないように包装の設計段階から、すべての障害を取り除いた包装のことを「ユニバーサル・デザイン」と称します。また、ユニバーサル・デザインとは、「総ての人が特別な改造や特殊な設計をせずに、最大限まで利用できるよう配慮された製品や環境の設計」と定義されています。換言すれば、健常者と障害者の両者に共通する「共用品」の包装ということができるでしょう。
更に、ユニバーサル・デザインの5原則というものがあります。
1.必要情報の分かりやすい表現
2.簡単で直感的な使用性
3.使用時の柔軟性・安全性
4.適切な重量とサイズ
5.無理な力や動作を必要としない設計

2節:カラー・ユニバーサル・デザイン

日本人は500万人もの人が、つまり、20人に一人の人が色弱と言われています。
また老齢化が進むにつれ、緑内障や白内障等の色感覚が低下する人が増加する事を考えますと、カラー・ユニバーサル・デザインの重要性がますます高まってきています。
例えば、色弱者は黒い背景色に赤文字が書かれた注意書きは読めないのです。
このことから、重要な事故につながる可能性は高いと言わざるを得ません。このように生産者側は見やすさや分かりやすさの配慮をしたつもりが、逆に、仇になるケースも多々見受けられます。
ではなぜ、カラ"・ユニバーサル・デザインが重要視されるのでしょうか。その理由は言うまでもありません。例えば、何らかの食品アレルギーを持つ人で、且つ、色感覚に障害のある人を想定しますと、場合によっては大変な危険を伴うことになりかねません。もしそうすれば、その被害者は勿論のことですが、供給した企業にとっても、CSRの一貫だけでは済まなくなり、企業の存続を問われかねないリスクすら孕んでいるのです。
カラー・ユニバーサル・デザインの対応には特別のインクも設備も不要です。対応するに当たってのポイントは唯一点です。
それは、人間、一人一人の色感覚はそれぞれによって異なるので、その多様な色感覚の人々に、その色がどのように見えるかを確認する作業がポイントになります。最近では色感覚シュミレーションソフトも開発されているので、それを駆使して、対応のノウハウを蓄積することが急務であると言えるでしょう。
また、一企業単位ではなく業界や関係省庁での色使いについてのガイドラインの整備や法制化が待たれます。
色感覚シュミレーションソフトの無償配布情報
○東洋インキ:カラー・ユニバーサル・デザインにもとづく配色が簡単にできるシュミレータや色変換ツール等のソフト「UDing」を無償で配布しています。
カラー・ユニバーサル・デザイン包装

必要な要件

表示法

テクニカル・ポイント

#1#直感的に分かる

表示文字の書体・サイズ

8ポイント以上のゴシック体

#2#理解しやすさ

分かりやすい表示

イラスト、チャート等の添付

#3#品質保証

賞味期限、保証期間の明示

見やすく、発見しやすい箇所に

#4#開けやすさ

開封方法の明示

開け箇所を分かりやすい箇所に、分かりやすい表現で、力強く剥がさなくとも剥離できる

#5#内容物の識別

色弱者への色感覚配慮
カラーユニバーサルデザイン

カロリーや栄養素の明示

#6#再商品化情報

使用材料の表示

法的なサイズで、見やすく、マークづけ

#7#持ちやすさ、飲みやすさ、食べやすさ等

尚、JIS規格には、高齢者・障害者配慮設計指針―包装・容器、高齢者・障害者配慮設計指針―包装・容器‐開封性試験方法、高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針等が規定されています。

3節:バリアフリー包装

高齢者や心身障害者、更には乳幼児や妊産婦などの社会的弱者は健常者とは異なり、生活上のいろいろな障害が待ち受けていますので、包装資材についても、各種の障害に配慮した対応が必要です。
例えば、
1.高齢者への配慮(身体障害や認知障害、嚥下困難者への配慮として)
#1#情報面では購買選択情報と使用時情報が必要です。
#2#動作面では軽くて、持ちやすく、飲みやすく、食べ易く、運び易く、更には、易開封・易再封性等の配慮が必要です。
2.障害者への配慮(身体や認知障害への配慮として)
咀嚼や嚥下困難者には介護食や病状に合わせた食品が必要です。
3.乳幼児への配慮(乳幼児は、何でも口に入れることへの配慮として)
飲みやすさ、のどに詰まらない固さや大きさへの配慮(チャイルド・レジスタンス)が必要になります。
JISによる「バリアフリー包装」の定義としては、「身体機能の一部が不十分な人々にとってバリアとならないよう配慮された包装」となっています。
乳幼児向けのチャイルド・レジスタンス対策フィルム袋としては、切り込み部分からは途中までしか開けられず、2つのアクションで始めて開封できる製品等が開発されています。
また、高齢者の増加に伴って、重くて割れやすいガラス瓶や再封性のないアルミ缶などは敬遠されて、軽く、割れにくく、安価で、少しずつ飲めて、再封できるPETボトルが増えてきています。
生産・輸送段階ではしっかりと開封されず、消費者が購入してからは容易に開封できて、一度使用した後もしっかり中身が密閉保護される再封性が求められます。
JISでは、高齢者・障害者配慮設計指針―包装・容器‐開封性試験方法に開栓・開封力の規格設定の目安が示されています。袋に切り口やキズをつけたり、凸凹シールを付ける等の工夫が施されています。
高齢者・障害者配慮設計新製品情報
○東洋製缶では、把手付の1、8リッター軽量ボトルを新製品化。従来製品より10g軽量化し、且つ把手を付けたので持ち易い構造になっています。
○日本コカコーラは、1020mmリットルと国内最軽量プラントボトルで、植物由来バイオマス素材を一部使用していて、飲用後、簡単に潰せてリサイクルが可能な天然水ボトルを開発しました。
○雪印メグミルクは、薄肉軽量、嵌合強度強化、持ち易さの追求と、加えて、プラスチック使用量の削減を図ったマーガリンに適正な容器を設計しました。
○モスバーガーフーズサービスは、持ち易さ、食べ易さ、超軽量な、“ナン”を包むパッケージを開発しました。
○キリンビバレッジは、高齢者でも軽く持ちやすく、注ぎやすく、ユニバーサル・デザインにも配慮した新2リットル入りボトルを開発しました。
○共同印刷は、パッケージをあたかもバナナの皮を剥くかのように容易に開封できることから、バナナオープンと名付けた易開封パッケージを開発しました。軟包装でありながら、バリア性に優れた製品です。
○エビスビールは、指穴形状に配慮して持ち方も自由に選択できて、片手で開封し、且つ缶フタを覆うこともできる3缶入り新エビスビールを上市しました。

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