2011年の包装業界

4.環境にやさしい包装

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1節:環境負荷の削減(3Rの推進状況)

今日では、消費者によるマイバック運動、ノーレジ袋運動をはじめ、一部の大手量販店によるノー・トレー包装、そして、大手飲料メーカーによるPETボトルto PETボトル等による地球環境負荷削減運動が行われています。
これらの環境負荷削減運動は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた「環境サミット」からスタートしています。
この会議では、世界は持続可能な発展を図ることや容器包装の量的生産の削減等が決定されました。
日本では、環型社会形成推進基本法の中の個別法の容器包装リサイクル法(容リと略)が、完全実施されたのは2000年でした。同法の目的は包装廃棄物の埋め立てを少なくすることでしたが、大局的には環境負荷を縮小するため、3Rの推進が最終目標でした。
リデュース:量の削減
リユース:再使用
リサイクル:再利用
この3Rの中で環境負荷の低減に最も効果的なのは、リデュースで、ノーレジ袋、ノー・トレー包装もその一貫です。また包材の薄肉化、軽量化、箱の中仕切りの廃止等の一例であり、強いては地球温暖化の防止が最終目的です。

環境の負荷にやさしい包装

リデユース
総使用量や使用原材料の削減

リユース
再使用、再利用

リサイクル
リサイクル材料の再使用、リサイクル可能化の拡大等

具体策
包装の簡略化、薄肉化、軽量化

具体策
回収率アップ、回数アップ

具体策
再生紙化、単素材化

対象品
金属缶、ガラス瓶、ボトル
外装、内装箱の除去等

対象品
清涼飲料水容器、ビール瓶
牛乳瓶、調味料瓶、液体洗剤等

対象品
トイレットペーパー、酒パックPETボトル等

地球環境保全に資する商品を認定するマークに「エコマーク」が、また製品の環境情報を定量的に表示するマークに「エコリーフ」がありますが、味の素冷凍食品は独自のエコマークを表示して、消費者に環境配慮情報を分りやすく伝達しようとしています。
2011年からの新製品には「味なエコ」マークの表示を順次展開して行くとのことで、具体的には、従来商品比35058%CO2排出量を削減する「トレーを使わない大袋入り商品」や調理時のカロリーを35094%削減する商品等があります。尚、エコマークは「味なエコ」をデザインしたものだそうです。
リデュースに関する2009年度実績
※2009年度目標:軽量化・肉薄化による使用量削減6素材を達成すること

素 材

2009年度実績(2004年比)

2010年度目標

ガラス瓶

1本当たりの平均重量を1.8%
計量化 6品種、1,472トン

1本当たり1.5%軽量化

PETボトル

主なる容器サイズ、用途15種の内、13種で0.3015%軽量化

主なる容器サイズ、用途15種の内、13種で0.1011%軽量化

紙製容器包装

11.4%削減

1.3%削減

プラスチック容器包装

6.4%削減

4.4%削減

スチール缶

1缶当たり平均重量を2.1%軽量

1缶当たり平均重量を2.0%軽量

アルミ缶

1缶当たり平均重量を3.4%軽量

1缶当たり平均重量を2.0%軽量

飲料用紙容器

現状維持

現状維持

段ボール

1平方m当たり重量1.4%軽量化

1平方m当たり重量0.9%軽量化

(3R推進団体連絡会)
リサイクル率・回収に関する2009年度実績 

素 材

2009年度実績

2010年度目標

ガラス瓶

リサイクル率:68%

70%以上

PETボトル

回収率:77.5%

75%以上

紙製容器包装

行政回収率:13.9%
行政+集団:19.1%

20%以上

プラスチック容器包装

収集率:61.3%

75%以上

スチール缶

リサイクル率:89.1

85%以上

アルミ缶

リサイクル率:93.4

90%以上

飲料用紙容器

回収率:43.5

50以上

段ボール

回収率:100.6

90以上

(3R推進団体連絡会)

3Rの取り組み「内閣総理大臣賞」は、千年小学校

3R進協議会は平成23年度の3R推進功労賞の受賞者を発表しました。
全国から多数の推薦案件が寄せられ、審査の結果、各大臣賞15件、会長賞85件が表彰されました。内閣大臣賞には広島県福山市の千年小学校が選ばれました。同校では、学校、保護者、地域が連携して、環境を守る大切さを学習してきましたが、その一つが、児童の家庭から排出される食品トレーを回収し、白色と色付きトレーの仕分けを行う活動や牛乳パック、段ボールの自発的回収の実施活動、更には、給食委員が牛乳パック等を教科書等に再生できることをアピールした上で、全校集会時に牛乳パックの開き方や洗浄法、乾燥法を説明して、乾燥した牛乳パックを一枚一枚重ねて箱詰めして、一定量が溜まると紙資源回収業者に持ち込むという活動を行って来たことが評価されて授賞が決まりました。

2節:包装廃棄物の処理と再利用

包装廃棄物の処理と再利用を定めた法律が容器包装リサイクル法(容リ法)です。
同法を制定した経緯はリオデジャネイロ会議での決定もありますが、それ以前は家庭からでるゴミ処理は総て地方自治体の責任で、容器包装の量が地方自治体の処理するゴミの容量の60%を占めていて、コスト負担が増大したこと、もう一点はリサイクル・システムができていなかったので分別収集の動機付けが働かず、収集されたゴミは埋めるか燃やすかの方法以外になく、それが資源の無駄と関係者の目には映っていたことの2点が同法制定につながりました。
平成12年から本格施行された容リ法のポイントは以下の5つがあります。
1.消費者は購入した商品の包装や容器を分別して出す。
2.市町村がこれを分別回収する。
3.入札により容器リサイクル協会に指定された業者(指定法人)が、市町村からこれを受け取り、再商品化して、これを利用者に販売する。
4.特定事業者である包材の製造業者(容器製造業)と中身を商品として包装する利用業者(例えば食品製造業)は生産量や使用量に応じて再商品委託料を指定法人に支払う。
5.指定法人はこの資金を再商品化事業者のリサイクル費用に補填する。

また、平成18年に改正された法律では、次の4つが改正されました。
1.「レジ袋対策」では、有償で提供される容器包装(レジ袋を想定)であっても、中身の商品と一体となって提供される場合は容器包装に該当するとしたこと。
また、レジ袋等一定量以上の容器包装を利用する業者は取り組み状況を報告する義務を課した。
2.「質の高い分別収集・再商品化の推進では、事業者が市町村に資金を拠出する仕組みを創設した。
3.「容器包装廃棄物の円滑な商品化」では、主に国外に流失している廃PETボトル対策として、市町村が自ら策定した分別収集計画に従って、収集した量を指定法人に円滑に
引き渡すことを求めた。
4.「事業者間の公正性の確保」では、ただ乗り業者に対する罰金を50万円以下から100万円以下に強化した。

3節:容器リサイクル法改正の課題

日本容器包装リサイクル協会が平成23年度のプラスチック製容器包装の落札価格を発表しました。それによりますと、主な要点は
1.材料リサイクルは36万3500トンで12000トン増加した。
2.再商品化に占める材料リサイクルは54%だった。
3.リサイクル単価7万円(前年比3000円低下)だった。
4.その他、コークス原料化、高速還元化等では落札単価が下がった。
5.ケミカルリサイクル手法の油化は落札ゼロ。
6.単一・材料リサイクルであり、世界最高水準を誇る廃PETボトルの有償落札価格はトン当たり48000円。落札量は19万4000トン。(全体の98%)
これらの状況から、間係業界での意見としては、市町村に対して、国内環境で安定的なリサイクルに協力をすべきであるとの意見や、アルミ缶やスチール缶、段ボール等と同様に、有償で引き取られるのだから、再商品化義務の対象から外すべきとの意見も出てきています。
プラスチック容器包装業界では、前回同様、見直し議論の中心は、「拡大生産者責任」(EPR)が最大の論点と見ています。同法でEPRの強化が有効ではないという見解が優勢です。
紙容器包装では、回収物の品質と量、環境負荷やコスト等のバランスに配慮した上で、どのようなリサイクルを目指すか、最適リサイクルシステムの構築が最大の論点であると業界筋では見ています。

4節:ノー・トレー包装

量販店大手S社のある店舗では、昨年来、一部の肉類をトレー容器を使わず、直接フィルムでラップし、その代わり、販売単価を30040%値引きして販売するというテストをしています。いわゆる「ノー・トレー包装」販売のことですが、もともと、S社がノー・トレー化を思い立った理由は、トレーのついた商品を購入した相当数のお客様が、過剰包装と判断してか?店内のゴミ箱にトレーを捨てたことから発想したそうです。
そこで価格を下げ、その代償にノー・トレー包装にするという販売手法に出ました。その結果、販売量を増やす結果になったとのことです。このいわゆる「ノー・トレー包装」は、関係業界からの注目を多く集めました。
S社に刺激を受けた大手量販店A社では、同じ商品をトレー包装とノー・トレー包装の2種類にして、並べて販売したそうです。その結果、販売量はトレー包装の方に軍配が上がったということです。
このA社の実験から判断されることは、どうやら、S社のお客様はゴミやCO2排出削減といった環境配慮意識よりも、まだまだ価格コンシャスが購買動機として勝ったように思われます。
ところで、S社の価格の引き下げを可能にしたコスト要因は何か分析してみますと、それは単にトレー包装の資材コストの削減だけではなく、むしろ食材処理と包装作業における一連の労務コストの合理化による削減効果の方が大きいのです。というのも、一般的な小型量販店のバックヤードは、狭く、スペース的に限界があり、食材処理や包装作業の効率が著しく制限されます。その点、S社では、自前の流通加工センターの広いスペースを利用して、集中的に食材の処理と包装作業を行う方法によって、大幅値引きに見合うコスト削減ができたのです。
では、流通加工センターを持てない小型店舗でノー・トレー包装が可能か?換言すれば、従来のトレー包装機をノー・トレー包装機に入れ替えると、どういうことになるかと言いますと、それはコスト面や作業効率面で大きな問題があるということになるようです。
問題点としては、
* ノー・トレー包装機を採用するには計量機の購入が必要。
* ノー・トレー包装機は、包装スピードが格段に遅いのでコストアップになる。
* 狭いバックヤード内での作業はますます作業効率を落とす。
等の負担が大きいからです。更に、鮮度の劣化の問題点も指摘されています。
ノー・トレーだと、中身が押しつけられたり、また、お客様がラップフィルムの上から直接触ることが多いので、人の手の体温が伝わることで、商品の劣化を早める原因にもなります。
ノー・トレー包装に対する容器包装業界の反応は、使用済みトレーのリサイクルやバイオ系樹脂の使用によって地球環境への配慮は十分に貢献しているとして、今のところ、静観するスタンスにいます。
一方、包装機メーカーの方は、ノー・トレー包装に対応できる包装機の高速化、汎用化や真空包装とバリア性フィルムの貼合技術の接合、更にはコンパクト設計等の開発に取り組んでいるようです。
数年後には、バックヤードを持たない小型店舗でも、肉や野菜売り場の総ての商品がフィルムで覆っただけのノー・トレー包装で埋め尽くされている時代が来るかもしれませんね。

5節:PETボトルto PETボトル(以下B to Bと略)

メガトレンドとして注目を集めている「PETボトルtoPETボトル」もしくは、
「PETボトルtoトレー」という究極のリサイクル技術が、欧米では数十%を占める程に拡大しています。
この動きに、国内最大手の飲料品メーカーS社は一早く対応して、協力会社との共同で、メカニカル・リサイクルシステムを構築しました。
同社では米国食品医薬局が承認する欧州製PET樹脂再生機を導入して、リペット化加工を行っていますが、再生機の導入に当たっては、厚生労働省、国立医薬品食品衛生研究所が中心となって進めている再生プラスチックの食品用途への使用についての検討内容に十分に配慮しながら、自社独自の検証を実施したとしています。
使用済み製品を粉砕・洗浄処理して新たな製品の原料にすることで得られる再生樹脂を再度、清浄ガスで洗浄し、再生原料の不純物を除去することで「超洗浄法」と名称されるB to Bは、この再生樹脂を混ぜて新ボトルに成型されます。
また、食品容器メーカー最大手のF社では、PET・メカニカル・リサイクルプラントを新設・稼働させ、近く、再生原料を使った透明容器の販売をスタートします。
尚、メカニカル・リサイクルに関する法的規制については、食衛法で、「器具及び容器包装」の規定では有害物質が含まれていたり、健康を損なう恐れのあるものは使用してはならないとの規制があります。従って、再生品については、現行では、この規定に抵触しなければ、企業個々の責任において、生産・販売は可能とされています。
しかしながら、食衛法とは別に、厚生労働省が、「超洗浄」などのメカニカル・リサイクルも法的規制に乗り出すものと観測されています。
日本のPET・リサイクルは、容器包装リサイクルを含め、回収・洗浄、揮発性成分除去.異物除去等の品質管理データの蓄積があるので、良質なPET・リサイクル原料の国内循環を高めるメカニカル・リサイクルを本格化してB to Bを推進する意義は大変大きいものがあると言えます。

6節:リサイクルと障害者雇用(新庄方式)

山形県新庄市に所在する食品トレーメーカーY社は、かなり前から地元量販店と提携して障害者の社会参加を視野に、食品トレーリサイクルの構築を目指す方式に取り組んでいます。この方式の名称が新庄市から始まったので、新庄方式と呼ばれています。
新庄方式とは、家庭から排出される使用済みのゴミを市町村区が回収して、障害者の手によって分別され、食品用トレー原料へリサイクルする取り組みを現地のNPO組織と食品トレーメーカー等の協力と連携によって展開していく方式のことです。

新庄方式の特徴は、環境問題を学習する情報館を併設して、環境教育・環境情報を発信していることです。また、知的障害者の雇用を前提にしていますので、リサイクル設備を稼働させるに当たって、当初の間は、障害の程度に個人差があるので、分別の要領をマスターさせるにはどう指導すればよいのか・・指導者にも障害者にも、それぞれの戸惑いや試行錯誤を繰り返すと言った苦労があったようです。しかし乍ら、毎日の単純作業の繰り返しを厭わず身につけることで、要領も掴めるようになってきたとのことです。
やがて、仕事がやれるという喜びを実感することで働く人々の目の輝きが変わってきます。何よりも、ここで働く知的障害の人には、地域最低賃金が支払われていることから、当然ながら、税金を納める立場になりますので、健康保健証が交付され、世帯主となり、そして、障害者の両親が障害者の扶養家族になるというような変化を体験することになります。このような過程を経て、やがて、障害者は自らの責任を自覚し、自律・自立して行くようになります。
新庄方式は、生活保護者雇用促進事業等に見られる単なるアリバイ作り事業ではなく、リサイクルと障害者雇用の融合を図る方式として、今や、東北、関東、中部、東京へと全国的な広がりを見せつつあります。
尚、ゴミ集めは各地の市町村、リサイクル施設建設費の捻出や粉砕・溶融減容機の貸与、人材派遣、ペレット買い取りは食品トレーメーカーやリサイクル支援企業、また、施設の運営、知的障害者の雇用、指導は地域のNPO法人が協力しています。

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