容器・包装に関する技術

4.香気成分の包装技術

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食料品だけではなく、化粧品、医薬品、溶剤などのにおい成分を持つ商品を包装する場合があります。
これらの香気成分を減少させず、外部に漏れないように包装する技術が必要です。

●香気成分は貯蔵中に変化しやすく、劣化することが多い成分です。
原因は3つ挙げられます。

#1# 包装材料の気体(酸素、光線)に対するバリア性が関係しています。
#2# 包装素材の無臭性と直結しています。
プラスチック素材には各種の添加剤、残存物質の臭いが溶け出しています。
包装材料からの臭いが移ってしまうことがあります。
#3# 包装容器外へ成分が溶け出してしまうこともあります。

以上の点から、保香性包装技法の基本は包装材料にポイントがあると思われます。
包装材料自体から異臭となる物質が溶け出さないことが第一条件でしょう。
容器の材料としてはプラスチック包装材料が最も一般的です。
金属やガラスの酸素を通さないことが挙げられます。
また炭酸ガスなどのガス類を通さないことも重要です。

●プラスチック素材に対する気体の透過過程について考えてみましょう。
バリア性包装技術と重なる要素が多くあります。
それは、酸素を通すことによって商品の臭いが落ちてしまうのです。

しかしプラスチック素材にはガスを完全にバリア出来るものは存在しません。
その種類によって程度は変わってくるのです。

プラスチック素材には様々な種類が存在します。
PVDC (ポリ塩化ビニリデン)
PVA  (ポリビニルアルコール)
EVOH (エチレンビニルアルコール共重合体)
PAN  (アクロニトリル)
などのガスバリア性は良好であるといわれています。

一方
ポリブタジエン
ポリイソプレン
ポリ4メチルペンテン-1
ポリメチルシロキサン
などのガスバリア性は悪いといわれます。

一方、包装材料にガスバリア性を付与する方法も開発されています。
一般的にはバリア性のあるバリア性樹脂材料を使用します。
その他には表面をラミネートして改質するという方法があります。

ラミネートの方法として
#1# ドライラミネーション
接着層の耐熱性、耐水性などに優れています。
レトルトパウチには特に必要とされる条件です。

#2# 押出ラミネーション
一つの方法は、フィルムが溶融状態にあるうちに基材と圧着させ冷却させます。
もうひとつは基材ともう一つのフィルムの間に溶融させ、押し出す方法があります。

一般的な素材としては、
PE(ポリエチレン)
PP(ポリプロピレン)
PET(ポリエチレンテレフタレート)
OPP(二軸延伸ポリプロピレン)
ONY(二軸ナイロン)
が挙げられます。
食品や調味料の容器に使用されることが多くあります。

#3# 共押出ラミネーション
2台以上の機会を使用して、樹脂を溶融状態にする方法を指します。
以上の3つの方法が挙げられます。

さて、プラスチックを透過する気体の量は、2つ挙げられます。
一つは気体のフィルムへの溶解しやすさと言えます。
もうひとつはフィルム中での拡散しやすさにあるでしょう。

プラスチックに対する香気成分の吸着特性を十分に把握しておくことが重要です。

PET(ポリエチレンテレフタレート)
ポリアクロニトリル
という素材が適しているといわれています。

●保香性の評価方法について考えてみましょう
包装による保香性とは、人の嗅覚によってデータの差が生じてしまうものです。
しかしその傾向を知るデータが必要です。
ここでは官能検査が行われています。

香臭気バリア性に優れている素材を順に挙げてみましょう。

#1# ポリエステル
#2# ポリカーボネイト
#3# PP(ポリプロピレン)
#4# PVDC (ポリ塩化ビニリデン)
#5# ポリアミド(ナイロン類)
などであるといわれています。

また劣る素材としては、
ポリエチレン類、セロハンなどであるといわれます。

●透過しやすい香臭気を挙げてみましょう。

#1# バニラエッセンス、アーモンドエッセンスなどの種類
#2# カレーパウダー、シナモンパウダーなどの種類
#3# コーヒー
#4# ココア
#5# ソース
#6# しょうゆ
#7# いか塩辛
#8# 紅茶、日本茶
などであるといわれています。

また、これらの素材の包装素材について考えてみましょう。
EVOH (エチレンビニルアルコール共重合体)などのガスバリア性の良好なフィルムが適しているといわれます。
その他にも
PVDCコートOPP(KOP、KOPP)
PVDCコートセロハン(KPT)
PVDCコートナイロン(KON)
という物質が適しているといわれています。

香気成分を多く含んでいる食品の包装を考えてみましょう。

#1# めんつゆ、醤油、ソースなどの調味料
PETボトルが多く使われています。
#2# わさび、からしなどの香辛料
EVOH (エチレンビニルアルコール共重合体)などの多層のラミコンチューブが使われています。
#3# カレー
レトルトが主流となっています。
パウチはPET(ポリエチレンテレフタレート)などが使われ、バリア材にアルミ箔が使われています。
#4# コーヒー、紅茶
金属缶が主流でしたが、PETボトルが主流となってきています。
フレーバー成分の非吸着性は良好ですが、ガスバリア性は良好ではありません。
#5# 果汁飲料
PETボトルはガスバリア性が良好でないため、ガラス瓶が主流となっています。
また、これに対応できるPETボトルの開発が進められています。

●保香性のもう一つの評価方法について考えてみましょう
食品や飲料の香気成分に複数の物質が含まれている場合があります。
ここでは機器での分析法が利用されています。

d-リモネン、といわれる物質があります。
これは柑橘類の果皮に塗られるものです。
農作物の搬送には果実も多くあります。
そのためには、この物質の包装材料への透過性や吸着性を知ることは大変重要なことです。
ここでもEVOH (エチレンビニルアルコール共重合体)などのガスバリア性の良好なフィルムが適しているといわれます。

またジャスミン香、木香、ばら香などには
PAN  (アクロニトリル)
EVOH (エチレンビニルアルコール共重合体)
PET(ポリエチレンテレフタレート)
という物質が適しているといわれています。

最後に、香気成分を保つ、ガスバリア性に有効な素材についてまとめてみましょう。

#1# EVOH (エチレンビニルアルコール共重合体)
最もガスバリア性に優れた物質です。
エチレンとビニルアルコールの共重合体であるとされています。
包装材料の内面素材として使用する場合は、リモネンを含むものに適しています。
#2# PAN  (ポリアクロニトリル)
透明性、ガスバリア性、耐薬品性、成型加工、芳香性に優れています。
ガソリンやメントール、リモネンに対しても耐久性があります。
#3# PET (ポリエチレンテレフタレート)
包装材料としては、プラスチックトレーに使用されています。
#4# ナイロン(ポリアミド)
強度、耐熱性、耐寒性などに優れています。
自動車のガソリンタンクの材料として使われています。
#5# PVDCコートフィルム(Kコートフィルム)
ガスバリア性包装材料のなかで最も多く使用されています。
Kコート用のフィルム素材として、二軸延伸PP(OPP)、PET、ビニロンなどが使用されています。
保香性が良好です。
#6# 蒸着フィルム
アルミニウムを真空蒸着したフィルムのことをいいます。
フィルムの素材として、二軸延伸PP(OPP)、PET、CPP、LDPEなどがあります。

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