容器・包装に関する技術

1.包装の基本的機能

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古来より人間の日常生活のなかで、モノを包むことは大切な行為でした。
人間は生きていくために、農産物の生産や狩猟などを行います。
それによって生活するためのモノが生じます。
また、それらを運搬する必要が出てきます。
そのためにはモノをまとめて、包まなくてはなりません。
そこからモノを包装するという行為が生まれてくるのです。

モノを包装するためには、まず天然素材が用いられました。
土器やかご、ざる、俵、和紙などが挙げられます。
日本のふろしきや、韓国のポシャギなどもこれにあてはまることでしょう。
包装には文化的な要素もあるといえます。

また古来の社会では、モノは日常生活に適応する量を生産していました。
これらの包装技術は少量のモノに適した包装技術であるといえます。

商品包装の近代化が始まった経緯を振り返ってみましょう。
古来人々は生産者から直接モノを購入していました。
そこではモノはかごに入れる、紙類に包む作業がありました。
そして消費者に届けられていました。

しかし世の中では科学技術が発達していきました。
近代化された時代がやってきたのです。
モノは工場などで大量生産される時代になりました。
そして大量に流通されるようになりました。

やがて近代社会が到来しました。
人々は、スーパーマーケットなどで大量にモノを購入するようになりました。
商品はプリパッケージ(事前包装)されて、消費者の手に届くようになりました。

包装の定義とは、物品の搬送に当たってそれを保護することであるといえます。
それを物品の状態によって

#1# 個装
#2# 内装
#3# 外装

の3つに分けることが出来ます。
消費者の手元へ物品を保護して運ぶことが重要なのです。

そのニーズには、天然素材の包装技術では対応が不可能となってきました。
これによって、従来よりも優れた包装技術の開発が求められてきたのです。

人々は、包装技術の作業の簡略化や安価ですむ工夫を重ねていくことになります。
今日まで様々な努力がなされてきたのです。

基本的な包装機能は商品の

#1# 保護
#2# 安全、衛生を保つ
#3# 販売上、取扱上の利便性を守る

という3点にまとめることが出来ます。

また近年では、環境問題への配慮なども生まれてきました。
1990年前後からは、特に容器のリサイクル化が進んでいます。
それに適した素材の開発も求められています。
また、過剰包装の廃止などもいわれるようになってきました。
環境だけではなく、人にも優しい要素が求められています。

しかし人々の生活の多様化は進んでいます。
人々のライフスタイルは変化しつつあるのです。
未婚率の増加、少子高齢化などはこれからも増加していくことでしょう。

そこから世の中には新しい様々なニーズが生まれています。
それらの生活形態に応じた包装技術が求められるようになっているのです。
現代では包装に要求される機能は、より多岐多様になっています。

包装は人々の生活に密着した存在になってきています。

近年では包装の新しい機能が求められています。

それらは、
#1# 保護性機能
#2# 衛生機能
#3# 利便性機能
#4# 環境適合機能
#5# 情報伝達機能

の5点にまとめることが出来ます。

#1# 食品包装の保護性機能について考えてみましょう。
物品は輸送の際に、物理的に保護されていなくてはなりません。
包装自体の破損や変形があってはならないからです。
これには発泡ポリスチレンなどのプラスチックの補助材料が使われています。
近年では古新聞などを再利用したパルプモールドという素材が注目されています。

#2# 食品包装の衛生機能について考えてみましょう。
食品は輸送など流通の際に、湿気や酸素の影響を受けて変質してしまうことがあります。
これを防止するためには、酸素を遮断することが出来る包装が必要とされます。

細菌やカビを招きやすい食品に対しては、密封包装ののちに過熱などの殺菌処理がなされることがあります。

他にも
#1# ホット充填
#2# ボイル殺菌
#3# 高周波
#4# マイクロ波
#5# 紫外線
#6# 化学薬剤

などを使っての処理が行われています。

このため食品の包装には、バリア性、耐熱性(耐殺菌性)、密封機能の高い包装素材が求められます。

抗菌性フィルムは銀、銅などの無機系抗菌剤をポリオレフィンの樹脂に練りこんで作られています。
その他にもからしや山葵、ヒノキなどの物質から作り出す技術が開発されています。

また作業環境は除塵、除菌の機能を持つ衛生管理システムが必要とされます。
包装の中に害虫や異物などの混入があってはならないのです。
食品衛生法第8条には衛生に対する基本的な考え方が明記されています。
消費者は安全で新鮮な食品を手に入れる権利があります。
そのためにも食品の衛生管理は重要な問題であるのです。

#3# 食品包装の利便性機能について考えてみましょう。
商品が安全に消費者の手に渡るまでには工夫が必要です。
いかにして便利に扱うことが出来るかは重要な問題なのです。

手に入れた商品は、まず開ける作業を行います。
商品の易開封性、また再封性は重要な要素であるといえるでしょう。

食品包装の易開封性について考えてみましょう。

●レーザーカット加工 
レーザーで深く掘り、開けやすくしたものをいいます。

●イージーピール イージーオープン
生産中は開けることが出来ますが、商品の輸送中は密封されているというものです。
利便性と品質保持の両立が可能となっています。
クラッカーのトレイ包装によく使われています。

●プルオープンタイプのスティックチーズ包装
スティックチーズの包装の際、一方を開けることによって全体の開封がしやすくなるという方法です。

食品包装の再封性について考えてみましょう。

ジッパーを用いる(最もポピュラーなタイプ)
スライダーを用いる
薄型ベルトを用いる
粘着剤方式を用いる(フィルム素材のものに使用される)
結束バンドを用いる(紙素材のものに使用される)

といった5つの方法があります。

#4# 食品包装の環境適合機能について考えてみましょう。
包装は商品を保護し、取り扱いを便利にするものであるといえます。
包装は商品の一部でもあります。
しかし、利用された後は不要となります。
廃棄物、リサイクルに回されていくのです。

近年は環境問題やリサイクルの理念が浸透しています。
容器包装ゴミの割合が増え、ゴミの減量化が始まりました。
ゴミの分別収集と再利用が勧められています。
1995年には容器包装リサイクル法が設定されました。

現在、包装容器には省資源化、省エネルギーが求められています。
例えば家庭用洗剤などは詰め替え袋による販売が進められています。
プラスチックボトルの軽量化なども行われています。

●包装容器の脱塩ビ化について考えてみましょう。
使用後の包装容器は廃棄物となります。
日本では焼却処理されます。
それに伴って有害物質のダイオキシンなどが発生します。
プラスチック包装素材の中で塩ビ系と呼ばれる種類は、ダイオキシンを発生する率が高いといわれています。
そこから包装容器の脱塩ビ化が図られることになりました。
環境対応型の包装素材として塩化ビニリディンコートフィルムやセラミック蒸着フィルムなどがあります。

●包装容器の生分解性機能について考えてみましょう。
使用後の処理が簡単な素材として生分解性プラスチックが注目されています。
廃棄物となった場合、土中の微生物によって分解され、堆肥となることが出来るからです。
焼却する場合でも燃焼カロリーは少なく、環境に優しい素材であるとされています。

生分解性プラスチックは1989年ごろから輸入され、開発されています。
生ごみと一緒にコンポストにして土に還すことが出来ます。
それによって野生生物への危害も減ります。
しかし、ニーズの低迷とコストが高いことが難点です。
そこからあまり普及していないとされています。

#5# 食品包装の情報伝達機能について考えてみましょう。
消費者にとって商品の注意事項、警告の表示は重要な情報です。
包装は商品に関する情報の伝達手段としての役割も担っているのです。
食品や医療品に関しては表示のルールや法令が設定されています。

特に加工食品においては表示がきちんとなされなくてはなりません。
商品の消費期限、賞味期限などの期間の表示は重要な情報となります。
近年での遺伝子組み換え食品の表示基準も決められています。

食品包装は消費者、流通業者へ的確な情報を与える任務を持っています。

#1# 消費者への情報提示
消費、賞味期限、保存方法などは消費者の健康を守るためにも必要です。
消費者が納得して購入できるように、添加物の表示も必要です。

#2# 流通業者へ情報提示
販売するために賞味期限、保存方法を明示しましょう。

そしてその基準を遵守することが出来ているのかをチェックしなくてはなりません。
JAS法によって農林物資の規格化や品質は定められています。
食品包装の表示の強化がなされています。

近年では食品の多様化と産地の広域性が高まっています。
食品包装での情報提供がこれからも求められていくことでしょう。

包装は古来より人の経済活動の一端を担うものでした。
そして大量生産、大量流通という時代のニーズに対応するためにさまざまな機能が付加されています。
それらは主に食品、医療品の搬送に従って発達していきました。
近年では環境に優しい要素も求められています。
包装、容器に関する技術について考えていきましょう。

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