身近な包装

4.包装システムの機能

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ガス遮断包装

食品に対する酸素の影響は、味、色、香りの悪化につながります。また、カビや細菌などの微生物が生育しやすくなります。このための工夫として、袋内の酸素を除くため、窒素や二酸化炭素でガス置換したり、脱酸素剤を封入する方法があります。その際、酸素が透過しにくいガス遮断性包材を使うことが必要です。

主な資材には、アルミ箔、ガラス瓶、金属缶に加え、酸素透過レベルのプラスチック包材も用いられています。

防湿包装・水分調整

食品の水分は、食感の変化のほかに、微生物の生育にも大きく関係します。水分の変化とそれに伴う変質を防ぐためには、水蒸気を透過しない袋や容器に入れることが必要です。

現在では、金属缶、ガラス瓶などの他に、水蒸気透過性の低いフレキシブル包材がたくさんあります。透明な包材では、延伸ポリプロピレン(OPP)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)などが使われ、シリカやアルミナ(酸化アルミ)などの蒸気フィルムも水蒸気透過性の少ない包材です。また、完璧な防湿性が求められる場合には、アルミ箔積層フィルムが用いられます。乾燥食品の吸湿防止には乾燥剤の封入も、昔から行われています。乾燥剤を練り込んだプラスチック容器も開発されています。

乾燥を防ぐための包装は、防湿性の包材を使用します。袋の中の水分を一定に保つには、水分調整シートが開発されています。

緩衝包装

出荷から消費者に届くまでに商品が壊れないように包装することです。必要最小限の費用で商品を安全に輸送することが要点となります。

基本的には、振動試験や落下試験などにより商品の振動や衝撃による壊れやすさを調べ、次に、流通過程での振動や衝撃の環境条件を調べ、これらのデータをもとに、計算によって最も低コストで、環境負荷の少ない緩衝材とその形状を決めます。

携帯性・易開封性・再封性包装

包装でも、便利性が重要になり、いつでもどこでも使え、易開封性や再封性があり、持ち運びに便利な容器が求められています。ペットボトルは軽く割れず安価で、しかも少しずつ使える再封性も備えています。販売前には容易に開封できず、購入後には容易に開封できる機能と同時に、内容物を保護する再封性が要求されます。

この易開封性、再封性は、バリアフリーやユニバーサルデザインの面からも強いニーズがあります。

電子レンジ食品の包装

ここでは、耐熱性と蒸気抜きがポイントになります。食品を包装したまま電子レンジ加熱するために開発された容器は、食品衛生上の問題がないこと、中で発生した水蒸気の温度や圧力により自然に蒸気の逃げ口が開いて、容器や袋がパンクすることなく加熱できることが必要です。

電子レンジと加熱のメカニズムが全く異なるので、耐熱性が260℃以上の包材が必要となります。

バリアフリー包装

従来の商品は健常者用ですが、福祉国家や高齢社会では、社会的弱者の生き甲斐やアメニティを考え、一般生活者と同じ商品やサービスが求められるバリアフリー商品があります。そのための包装は、以下のようなことが必要とされています。

  • ① 乳幼児:食品と同レベルの安全で、飲み込みやすく、のどに詰まらない大きさ。医薬品のチャイルド・レジスタント容器(押して回す二つの動作による開封)
  • ② 妊産婦:胎児への影響を考えた授乳婦用粉乳の安全性確保と、持ちやすいミニサイズ容器など
  • ③ 障害者・病者:咀嚼・嚥下の困難な障害者には、介護食が必要で、病状に合せた食品が必要
  • ④ 高齢者:情報面と動作面の配慮が必要。情報面では、購買選択情報と使用時情報の提供が必要。動作面は、持ちやすく、開けやすく、使いやすく、使用後のリサイクル性等が要求されます。

ユニバーサル・デザイン

バリアフリーが社会的弱者へ限定した概念であるのに対し、ユニバーサル・デザインは「全ての人が、特別な改造や特殊な設計をせずに、最大限まで利用できるように配慮された製品や環境の設計」と定義されています。

ユニバーサル・デザイン包装の5原則は、①必要な情報の分かりやすい表現、②簡単で直感的な使用性、③使用の際の柔軟性・安全性、④適切な重量とサイズ、⑤無理のない力や動作による使用感です。

不具合がなく使用でき、価格が妥当であること、表示文字の書体と大きさ、視覚的に分かりやすい表示、開け方の表示、材質別の表示などが必要とされます。

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