身近な包装

2.さまざまな包装資材

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包装資材は、昔から伝統的に使われていた、藁、木、蔓、木の皮から、明治・大正にかけて紙、金属缶、ガラス瓶、段ボールに移行し、戦後にはプラスチックが加わり、現在の包装資材へと進んでいきます。 近年では、容器包装にすぐれた特性を持たせる機能性包材の開発も進んでいます。

包装資材

包装資材には、内容物を保護する機能と、軽く持ちやすく、安全で衛生的、また、色々な形状に変化でき、見た目も綺麗で、環境に負荷がかからない、さらに安価なことが求められます。

包装資材の種類

金属缶

金属缶詰の起源は食品缶で、肉類や魚介類などを1年以上保存する目的で作られました。

長所 短所
・ 強度、剛性、耐熱性が高い
・ 光線・酸素・水蒸気を全く通さない
・ 外見が綺麗
・ 再封ができない

主な金属 材料は、ブリキ(すずメッキ鋼板)、TFS(電気クロム酸処理鋼板)、アルミニウムなどがあります。

缶種には、2ピース缶と3ピース缶があります。2ピース缶は、絞り、しごきなど胴部に上蓋を巻き締めた形で、3ピース缶は、缶胴部と、缶胴に二重巻き締めで取り付けられる上蓋と下蓋の3つからなります。

アルミ箔とスチール箔

アルミ箔の特性は、下記のようになります。

長所 短所
・ 表面は金属光沢で、裏面はマット調でシック
・ 湿性、酸素ガスバリア性、保香性がある
・ 耐熱性、耐低温性に優れている
・ 耐光性があり、他の金属に比べ軽い
・ 折り曲げ保持力(デッドボール性)に優れている
・ 印刷や張合わせなどの加工適性が良い
・ 不透明で、中身が見えない
・ 剛度(腰)がない
・ ヒートシールできない
・ 伸びが少ない
・ 薄いためピンホールが生じやすい

金属箔のトレイやカップには、容器の側面やフランジ部にしわの入った日用品用、菓子用、冷凍食品用と、内面にプラスチックを塗布したゼリー用やジャム用、内外面にフィルムを張り合わせたレトルト食品用があります。

スチール箔は(鉄箔)は、厚さが100μm以下のもので、硬さを利用して主にトレイとして用いられます。内外面に白色のポリプロピレンフィルムと張り合わせたものはレトルト食品に使われます。

ガラス容器

ガラスは、溶融液体を急冷して、結晶を析出せずに固化させた無機物質です。加熱すると、徐々に軟化し、液体となって、冷却すると固化します。ガラスびんの主な成分はソーダ石灰ガラスで、珪砂、ソーダ灰、石灰石とガラス屑カレットが40%~50%使われます。

長所 短所
・ 透明で中身が確認でき安心、着色も自由で不透明品や紫外線遮断も可能
・ 形状、大きさが自由に選択でき、強度が強く、クロージャーによっては再封可能
・ 化学的耐久性や密封性があり、内容物を変質させないため常温で長期保存が可能
・ 容器からの移り香がなく、無臭で、香気成分の吸着もない
・ 原料が安価で、一貫製造のため容器コストが安く、大量生産向き
・ 高速で内容物を充填でき、耐熱性もあり、高温殺菌が可能
・ リターナブル性(再使用)やリサイクル性(再利用)があり、環境に負荷がかからない
・ 重く、持ち運びに力が必要
・ 外部の衝撃で割れやすいため注意が必要
・ 金属に比べ、光線を通しやすいため、光線によって内容物が変色・褐色する
・ 形状はびん形態に限られ、プラスチックのように形状変化範囲が少ない

社会環境や、生活環境の変化に合わせて、ガラスびんの製造技術も上がり、生産性や品質も高められています。短所である重さに関しても軽量化がすすめられており、合わせて割れやすくなるという問題も、金属やプラスチックなどの塗工を含めたさまざまな方法が行われています。

紙は、木材パルプを叩き柔らかくしてから水に分散させ、抄紙機ですいて繊維を縦横に均一にそろえたものです。包装資材の中でも、出荷数量が60%弱、出荷金額は40%強を占めています。

紙の分類は以下のようになります。

スペース 種類 用途・機能
印刷・情報用紙 情報の記録、伝達 新聞紙、雑誌、コミック誌、ノート、OA用紙、小切手、紙幣
包装用紙 物を包んで運ぶ 包み紙、袋用紙、封筒、菓子や薬品の袋
衛生用紙 液体や汚れを吸収する ティッシュペーパー、トイレットペーパー、紙タオル
雑種紙 その他、特別な用途のために加工したもの 加工原紙、フィルター、書道半紙、ティーバッグ、紙
板紙 段ボール原紙 主に段ボール製造 段ボール、パルプ芯
紙器用板紙 主に表面に白いさらしパルプを使った紙 カード類、絵はがき、紙器、化粧品・石鹸などの高級化粧箱
その他の板紙 その他、特別な用途のために加工したもの 建材用の防水原紙、紙・セロファン・布・テープ等の巻芯や紙筒

また、特徴は以下のようになります。

① 比較的安価
② 剛性があって立体化でき、積み重ねができるため陳列効果に優れている
③ 内部に空気を含むため、緩衝性や断熱性がある
④ 低温から高温に耐えられるため、オーブンから冷凍まで使用できる
⑤ 印刷や張合わせなどの加工適性が良く、綺麗
⑥ 通気性があるため、青果物に適している
⑦ 可燃性で有害ガスが発生しないため、サーマルリサイクルに適している
⑧ 水に弱い欠点は、合成樹脂を積層することで解決可能
⑨ 他の素材との接合で、機能性紙に変身できる

段ボール

輸送包装の大半を占める段ボール箱には、次のような利点があります。

  • ・中芯が段繰りされているので緩衝性がある
  • ・軽くて弾力性があるため持ち運びに便利
  • ・厚くて剛性があるので積み重ねができる
  • ・直方体のため荷台にあう詰込みができる
  • ・商品にマッチした隙間を埋める構造にすれば、緩衝と同時に固定ができる
  • ・古紙としてのリサイクル率が高い
  • ・業務用通い箱としてのリユース(再使用)が定着
  • ・他の材料との組み合わせ新しい機能を付与できる
段ボールの種類と特性
種類 構成 使用特性
片面段ボール 波形に成形した中芯の片側にライナーを貼ったもの 巻いて緩衝材として使用
両面段ボール 中芯の両側にライナーを貼ったもの 一般的むけで、最近では薄いマイクロフルートを使ったものもある
複両面段ボール 両面段ボールに片面段ボールを貼ったもの 重量物用で強度が高い
複々両面段ボール 複両面段ボールにさらに片面段ボールを貼ったもの 超重量物用だが、使用例は少ない

減量化と価格の問題から、簡便な段ボールが多くなり、背中を抜いたものや段ボールトレーを上下においてその間をテープ止めしたものもあります。

紙器・液体紙容器

紙を使った全ての容器が紙容器であり、段ボール以外に、紙箱、紙コップ、紙袋、紙缶、ファイバー缶、液体紙容器などがあります。

さまざまな紙容器
分類 容器の形式 用途
折畳み箱 中舟式箱 キャラメル・たばこ箱用
一重式箱 一般型で洗剤箱など
トレイ 冷凍食品など
蓋付ヒンジ箱 ケーキ箱など
その他(六角、八角形など) 菓子、スナックなど
組立箱 ロック式箱(切込み組立て) 菓子、ボトルキャリア
組立て箱(手で組立て) ケーキ箱など
貼箱 丸型、角型、丸筒など 化粧箱、茶缶、高級酒など
特殊箱 キャリー・ディスプレー箱 陳列効果をもった箱
紙カップ 蓋なしの飲料用紙カップ
加工紙トレイ 調理食品に使用
複合箱 BIC(カートン)、BIB(段ボール) 飲料類、酒類、工業用品など
液体紙容器 レンガ型、屋根型、ストレート型など
カップ容器 プリン、デザートなど
紙管 平巻き紙管 粘体・液体など
スパイラル巻き紙管 お茶・菓子など
紙袋 中・小袋 取っ手付き買物袋
大袋 セメント、農産物

食品や医薬品の経口品は、未使用性が求められます。フラップを糊止めし、使用する時にジッパーで開封し、タック付きになる形式が多いです。洗剤などの粉・粒体は完全に密封し、スパウトから中身を出す方式です。二つの部品からなる中舟式は、キャラメルやたばこの一部に使用されているにすぎません。

機能性紙

紙は水や油を吸着して強度が落ちるため、紙粉が出やすいなどの欠点があります。それをカバーするため、さまざまな加工をしています。

機能紙とその特徴には、以下のようなものがあります。

機能 紙名 特徴
水に強い紙 強サイズ紙 パルプに樹脂を入れた紙で、液体容器に不可欠
ワックス含浸紙 コールドカップに使用
樹脂加工紙 ポリエチレン(PE)が主流で、液体容器に不可欠
油に耐える紙 耐油紙 フッ素系でない耐油紙で、持帰りの油揚品に使用
水を調整する紙 吸水紙 吸水性樹脂を塗った紙で宅配食品などに使用
保水紙 吸水性樹脂を塗った紙で、切り花、えのき茸などに使用
油を吸う紙 油吸着シート 油脂食品包装に使用
臭いを取る紙 臭い吸着シート 活性炭を塗った紙で、果物に使用、エチレンを吸着
菌繁殖を抑える紙 抗菌紙 ゼオライト(銀イオン)を塗った紙で、菌の繁殖を抑える用途に使用
熱に強い紙 一般的トレー 通常の紙だけでも180℃くらいまでは耐熱性あり
炭素繊維紙 炭素繊維をすいた紙で、電磁波シールド材に使用
紙粉が出ず、熱で接着できる紙 プラスチック紙 ヒートシールができ、殺菌ガスが通過するため、医療用殺菌袋に用いる
混抄紙 木と樹脂のパルプを混ぜた紙で、医療用に使用
ヒートシール紙 低分子樹脂を使った紙で、アイロンで貼れる
電気を通す紙 導電紙 炭素を入れた紙で、電子部品、電子機器包装に使用
炭素繊維紙 炭素繊維を入れた紙で、電磁波シールド材に使用
光を遮断する紙 遮光紙 炭素の厚塗り紙で、写真フィルム・印画紙に使用
錆を防ぐ紙 気化性坊錆紙 気化性坊錆剤を含んだ紙で、金属製品に使用

プラスチック

プラスチックとは、力を加えると変形するという意味で、可塑性物質ともいいます。熱を加えることにより、可塑性が高まり、フィルム・シート、成形品など、さまざまな形状に加工することが出来ます。また、熱をかけても軟らかくならない、熱硬化性樹脂もあります。

プラスチックの種類と特徴
分類 プラスチックの種類 略号 特徴
熱可塑性樹脂 汎用プラスチック ポリエチレン PE 柔軟性、耐寒性、ヒートシール性、防湿性
ポリプロピレン PP 透明性、耐油性、耐レトルト性、ヒートシール性
ポリスチレン PS 透明性、加工性、剛性
ポリ塩化ビニル PVC 加工性、柔軟性
基材プラスチック ナイロン PA 強靱性、耐摩耗性、耐熱性、ガス遮断性
ポリエステル PET 透明性、寸法安定性、耐熱性、香気遮断性
エチレン・ビニルアルコール共重合体 EVOH 高いガス遮断性、香気遮断性、防湿性
ポリ塩化ビニリデン PVDC 高いガス遮断性、耐熱性
熱硬化性樹脂 フェノール樹脂 PF 耐熱性、寸法安定性
尿素樹脂 UF
メラニン樹脂 MF

プラスチックの原料は、人工的に作られた分子で、合成高分子化合物と言います。原料には、さまざまな異なる有機化合物が用いられ、いろいろな性質のプラスチックを作ることが出来るのです。包装に広く使用されている理由は、以下にあります。

  • ・透明性に優れて、中身が確認できる
  • ・化学的に安定しており、耐薬品性や耐油性に優れている
  • ・耐水性や防湿性に優れているものが多い
  • ・軽くて、比較的安価、加工特性に優れている(成形、塗工、発泡)
  • ・適切な物理強度があり、延伸するとさらに機械的強度が強くなる

汎用樹脂を主に消費量を見てみると、包装材となるフィルム・シート用に最も多く使用されています。

プラスチックフィルム・シート

プラスチックフィルムの作り方は2種類あります。

① インフレーション法

押し出したチューブに空気を吹き込んで膨らませる方法

② Tダイ法

平らなフィルムを口金(Tダイ)から押し出し、ロール上で急冷する方法

このような方法で作られたフィルムは、分子が配向されない状態となるため、無延伸フィルム(CPP)と言われます。

この無延伸フィルムを逐次二次延伸機により再加熱し、縦方向にひっぱり、さらにフィルムの両サイドを横方向にひっぱって熱固定します。この方法で製造されたフィルムを、二軸延伸フィルム(OPP)といいます。

  • CPP … 伸びのある柔らかいフィルム。ヒートシールができ、耐熱性、耐油性もあるため、レトルト食品の内面のシーラントフィルムとして使用されます。
  • OPP … 伸びのない硬いフィルム。安価で弾性限界が高いため、印刷や張り合わせの加工基材として最適。多くの包装に使用されています。

二軸延伸フィルムの主な基材としては、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエステル(PET)、延伸ナイロン(ONY)などが挙げられます。

二軸延伸フィルム

単層フィルムでは、ごみ袋やレジ袋、カップ麺などの収縮フィルム、日用品、文具などの簡易包装などに使われています。

複合フィルムは、異なる機能を持ったフィルムを張り合わせ、必要な機能を持たせたものです。例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)と、アルミ蒸気ポリエステル(VMPET)、無延伸ポリプロピレン(CPP)の3層蓄積フィルムは、OPP袋の強度と印刷性能を高める要素と、VMPETの酸素・水蒸気と光線の遮断性と綺麗な金属光沢を付与しますし、CPPは袋に耐油性と熱で密封するヒートシール性を持っています。ポテトチップの袋などによく使われます。

プラスチックトレイとカップ

プラスチック成形には、

① 一次成形加工法(押出機により樹脂を溶解して直接容器を作る方法)

② 二次成形加工法(まずシート、またはフィルムを作り、それを再加熱して成形し、容器を作る方法)

があります。

一次成形加工法に多く使用されているのは、射出成型値法で、押出機により押出された樹脂を金型の中に注入して、型通りに仕上げたもので、樹脂の熱収縮はありますが、要望通りの成形品ができます。

二次成形加工法には、真空成型法と、圧空成型法があります。

真空成型法は、加熱軟化したシートを型の上にのせ、速やかに型とシートの隙間を真空にして、シートを型に密着させて成形します。

圧空成型法は、加熱軟化したシートを、下部から圧搾空気を吹き込み、金型に沿った成形容器を作る方法です。

トレイ、カップの材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)、ポリスチレン(PS)などがあります。緩衝性や断熱性が必要な場合は、発泡PSが用いられ、高い酸素遮断性が必要な場合はエチレン・ビニルアルコール共重合体との共押出し多層フィルム・シートが用いられます。

プラスチックのトレイやカップは、その製造法の特性から同じものを大量に製造できるため、「形状が均一で、低価格」という特徴があり、広く使われています。

ラップフィルム

ラップフィルムの性質は、簡単に伸びて、包むものの形に馴染みやすいものです。また、破れたり、穴が開いたりしないこと、重ねただけで簡単にくっつく自己粘着性も重要な特性です。

ラップフィルムには、大きく分けて4種類あります。

素材 用途 特徴
低密度ポリエチレン ラップフィルム、ストレッチフィルム 安価、引き裂きにくい
ポリ塩化ビニル ラップフィルム、ストレッチフィルム 安価、密着性
ポリ塩化ビニリデン ラップフィルム ガスバリア性、耐熱性、自己粘着性
ポリメチルペンテン ラップフィルム ガス高透過性、耐熱性

ストレッチフィルムとは、スーパーなど、業務用に使われるフィルムです。ラップより丈夫で、より伸びやすく、粘着性の高いのが特徴です。

その他のプラスチック資材

収納以外にも、包装に関するさまざまな資材があります。

結束に使われる紐類や、バンドストッパーなどのバンド類、粘着テープも包装資材ですし、結束と飾りを兼ねたリボン類、缶ビール6缶を一緒にまとめたマルチパックも包材となります。すこし特殊ですが、開封した後の袋を再封するためのクリップ類も包材に入ります。

多種多様なクロージャー類(キャップ、ふた)も重要な包装資材です。JIS規格によると、「包装の口部にかぶせるふた(キャップ)又は封かん材」と定義されています。中でも大切なのは、PPキャップ(Pilfer-proof Cap)と言われるもので、開栓時にキャップの脚部についているブリッジやスコアが切断されて開栓した後が残るキャップです。

また、主に産業用で、プラスチック製段ボール、ヤーンクロスや、さまざまな不織布、合成紙なども包材として用いられます。

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