紙の知識

4.紙の種類と用途

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1)紙の分類

紙は原料により「洋紙」「板紙」「和紙」に分類されます。割合的には木材を原料としたパルプから機械で製造した洋紙が多くの割合を占めています。

■洋紙

洋紙は西洋(欧米)で発展した紙です。抄紙機で製造され、パルプ(主に木材)を原料にした洋紙は、一部木綿、亜麻、エスパルとなどのパルプも使用されています。日本では1873年に、欧米の機械を導入した初の洋紙工場が建設されました。木質紙が主流になる前、主原料は木綿のぼろや藁でした。洋紙は印刷したり包んだりして使用されています。

■板紙

機械抄きの、特に厚い紙のことです。1946年ごろから急速にシェアが伸びてきました。段ボール原紙、白板紙、色板紙などがあり、包装、箱、表紙などに用いられています。

■和紙

JISの紙・板紙及びパルプ用語によると、和紙は日本で発展してきた特融に紙の総称です。

和紙は手すき和紙と機械すき和紙に分類されます。本来は靭皮繊維にネリを用い、手漉き法によって製造された紙ですが、現在は化学パルプを用いた機械抄き法によるものが多いとされています。

■その他

化学繊維紙、混抄紙、合成紙、樹脂加工紙などがあります。

※ある特定の目的に用いる、型の決まった紙のことを用紙といいます。印刷用紙、筆記用紙、図画用紙、情報記録用紙、原稿用紙、メモ用紙までたくさんあります。何らかの使用に供する紙で、使用目的を示す場合に限って使用されています。

2)工業製品としての紙の種類類

紙の種類はその品質や用途によってさらに細かい品種に分類されています。工業製品としての紙は「紙」と「板紙」に大きく分けられます。和紙については、工業製品の分類には入っていません。和紙は日本で発展してきた特有の紙の総称です。機械すき和紙は工業製品の紙の中の、家庭用雑種紙の中に入っています。手すき和紙については生産量がわずかな手工芸品とされています。

■紙

①新聞用紙

新聞巻取紙は機械パルプと脱インキ新聞古紙、化学パルプを配合した新聞印刷用の紙で、オフセット印刷適性を有しています。用紙の要求品質では、高不透明性、高表面強度、低い断紙率があります。近年環境に優しい紙を目指し、新聞古紙のリサイクルと軽量化の技術開発がすすめられ、古紙パルプは新聞用紙に60?80%配合されています。

②印刷・情報用紙

出来たばかりの紙の表面はでこぼこしていて、この状態を紙の原紙といいます。原紙の表面に塗工をせず使用する紙を非塗工用紙といいます。非塗工用紙は表面の白さによって、上質紙・中質紙・更紙(ざらし)に分けられ、コピー用紙・ノート・書籍・まんが本などに多く使用されています。

非塗工紙に対して、塗料によってでこぼこのある表面を埋める、または表面を覆うように塗工した紙を塗工用紙といいます。塗工をすることで表面が滑らかに鳴るほか、塗料が印刷インキを吸収する能力を持つためきれいな印刷をすることが可能となります。塗工紙は塗工量の多い順にアート紙・コ―ト紙・微塗工紙などに分けられます。アート紙は写真印刷等の仕上がりが重視されるカレンダー、写真集に使用されます。コ―ト紙は雑誌やパンフレット、微塗工紙は雑誌やチラシなどに使用されます。

特殊印刷用紙の色上質紙は漂白化学パルプ100%を使用した着色紙で、表紙、目次、見返し、プログラム、カタログ、健康保険証などに使用されます。連量、色数も豊富で上質紙同様汎用性が高く、装飾的な要素を少しだけ入れたい時やページの中で区分けをする場合など、幅広く用いられます。

情報用紙であるコピー用紙(PPC・普通紙)の印刷品質はあまり高くありませんが、安価で複写機のほかにも多くのプリンターで使用でき、主に文書中心の書類の印刷に使用されています。

③包装用紙

包装用途のため、品質としては強度が重要となり、原料のパルプは剛直で繊維の長いベイマツ、アカマツなどの針葉樹が主体となります。また、強いパルプが得られるクラフトパルプ化法から作られるパルプを使用しているので、包装紙はクラフト紙とも呼ばれます。

包装用紙は、パルプの漂白の有無によって未晒(みざらし)包装紙と晒包装紙に分けられます。

未晒(みざらし)包装紙は漂白されていないパルプを使用して作った包装紙です。セメント・肥料などの重量物を入れ衝撃強度が訴求されるもの(重袋用両更クラフト)から、一般事務用封筒などに使用されるもの(特殊両(りょう)更(ざら)クラフト)まで、用途によって分類されます。

晒包装紙は大きく3種に分けられます。特殊な乾燥ロールをもつヤンキーマシンで抄造された純白ロール紙は、片面に光沢を持つ紙で、デパートなどの包装紙やアルミ箔貼合(てんごう)などの加工原紙に使用されます。晒クラフトは手提げ袋、菓子・化粧品の小袋、産業資材の加工用に使用されます。その他のものは、その他晒包装紙に分類されます。

④衛生用紙

紙は水に濡れると絡み合っていた繊維がほぐれてしまうため破れたり、ふやけたりします。衛生用紙には、ティッシュやトイレットペーパー、ペーパータオルなどがあり、それぞれの用途に応じた機能が付与されています。

トイレットペーパーは、水流で繊維が容易にバラバラになる工夫がされています。紙を抄く時、通常はパルプ同士が互いに絡みやすくなるように叩解をしますが、トイレットペーパーは叩(こう)解(かい)処理を抑え、パルプ同士の絡み合いを少なくしています。またなるべく薄く作るなどの工夫で水に溶けやすくなっているのです。

これに対してティッシュは、濡れても簡単には弱くならない薬品(湿潤紙力増強剤)を原料のパルプに混ぜて抄いていきます。この薬品は樹脂を含み、抄いた紙を乾燥させる時の熱で溶けて固まることによりパルプ同士を接着するため、水に対して破れにくくなるのです。

■板紙

板紙というのは、板のように厚くてしっかりとした紙で、薄い紙が何枚か重なってできています。接着剤で張り合わせる特殊なものもありますが、抄紙機上の乾燥前の段階、つまり十分な水分を持った状態の薄い紙を何枚か重ね合わせる方法(抄き合わせ)が一般的です。紙が水分を含んだ状態で重ね合わせることで、繊維の水素結合や繊維同士の絡みが生まれ、しっかりとした厚い紙になります。

①段ボール原紙

板紙の約70%は段ボールと言われています。段ボールは、波型をした中芯と、その両側にあるライナーと呼ばれる2枚の平らな真身で作られています。波型の構造が強度を生み、軽くて扱いやすく、表面にはきれいな印刷表示が可能です。また、使用後は紙原料としてリサイクルができ、他の包装材料に比べて安価です。

②機械用板紙

紙器用板紙は、箱状の容器(化粧箱・パッケージ用など)に使われる板紙で、原料構成、品質、用途により4種類に分類されています。

【紙の種類一覧表】
大分類 中分類 小分類 用途・備考
洋紙 新聞用紙 新聞巻取紙 新聞用紙、全体の2割を占める。
印刷
情報用紙
非塗工印刷用紙 上級印刷用紙 書籍・雑誌・カタログ・チラシ
表面に顔料が塗布されていない
原料・白さで分類
中級印刷用紙
下級印刷用紙
薄葉印刷用紙 辞典用紙・コピー用紙
微塗工印刷用紙 雑誌・カタログ・チラシ
塗工印刷用紙 アート紙 書籍・雑誌・カタログ・チラシ
印刷適性向上の為、紙表面に顔料を塗布する加工をしている。
コ―ト紙
軽量コート紙
特殊印刷用紙 色上質紙 着色された高級印刷紙
その他 官製ハガキ
情報用紙 複写原紙 情報を記録する用紙として、OA機器を中心にアウトプットされて使用
コピー用紙
感熱用紙
包装用紙 未晒包装紙 重袋用両更クラフト 原料を晒していない薄茶色の包装用紙
他両更クラフト紙
他未更クラフト紙
晒包装紙 純白ロール紙 片面光沢晒しの白い包装用紙
晒クラフト紙 晒クラフトパルプの包装用紙
その他晒包装紙 薄口模造紙
衛生用紙 ティッシュペーパー、トイレットペーパー、タオル用紙など
雑種紙 工業用雑種紙 加工原紙 壁紙、食品容器原紙
電気絶縁紙 コンデンサペーパー
その他 ライスペーパー、クラシン紙
家庭用雑種紙 書道用具など
板紙 段ボール原紙 ライナー 段ボール箱を作るための原紙。段ボールの裏表用のライナー、中部(フルート)の中しんに分類
中しん原紙
紙器用
板紙
白板紙 マニラボール 板紙の中で最も上質
白ボール 印刷した箱の用途が多い
黄板紙 稲藁、古紙を主原料とした黄土色の板紙
チップボール 黄板紙の代用品(箱用が多い)
色板紙 古紙を原料に染料で着色した板紙

【世界の紙生産量】

世界の紙

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