紙の知識

3.紙の基礎知識

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1)紙の定義

「紙」の定義は『植物繊維その他の繊維を組み合わせて、こう着させて作ったもの。尚、広義には素材として、合成高分子を使用して作った合成紙、合成繊維紙、合成パルプ紙、繊維状無機材料を配合した紙も含む(JIS P 0001-4005参照)』と言われています。言い換えると「木や草の繊維を水の中でバラバラにして、網目などを使用して脱水しながら薄いシートを作り、これを乾かしたもの」となります。

2)紙の製造工程

紙を作るには、現在はそのほとんどが機械作業となっています。

①蒸解 大きな蒸解釜で原料の木材チップ(古紙)を煮込み、繊維のみを取り分けます。
②漂泊 二酸化炭素、酵素などを使用して繊維を取り出し、繊維を漂泊する。
③調整 パルプの種類も木材から採取される木パルプと、古紙から作られる古紙パルプがあります。このパルプを用途によりそれぞれの割合で合わせ、多種多様の紙を作ります。繊維を機械によって叩解(こうかい)します。
④漉紙(すきがみ) 繊維を網の上で絡み合わせて水分を切り、紙層を作っていきます。その後、紙フェルトに乗せて巨大なローラーの間にプレスしながら通して脱水します。
⑤仕上げ 出来上がった紙を塗巻き取り、ロール状になったものを1枚ずつ裁断して製品に仕上げます。

3)紙の特性

■紙の裏と表

大抵の抄紙機は、パルプの水分散液をワイヤーの上へ噴射して水を抜き、シート(紙層)を作ります。ワイヤーに接しているところ(ワイヤーサイド・表面)は、ワイヤーの目から水が下に抜ける時、細かい繊維が抜けてしまうので粗い構造となります。上部(トップサイド・裏面)は、緻密な構造になっていて滑らかな感じです。これを紙の表と裏と言います。紙を製造する時は必要に応じて白さ、不透明性を向上させるために、染料、顔料なども使用しますが、これらも抄紙時、ワイヤーの目から一部抜け落ちます。つまり、パルプ繊維で作られる構造の粗さのみならず紙の裏表の差が出てくるのです。最近では抄紙機の進歩に伴い、裏表の差は軽減され、コ―ト紙の場合は、差がほとんどないように作られています。

■紙の目

紙にはタテ目、ヨコ目と呼ばれる目があります。紙の繊維は紙を抄く機械の流れに乗って進んで行きます。繊維が紙のできる方向に向いているので、進行方向を縦、これに対して直角の方向を横といい、繊維が並んでいる方向を目といいます。紙の目は用途によってはとても重要で、紙製品のほとんどはこの目を意識して印刷、加工をします。

紙の目の簡単な見分け方は、破いた時にキレイに切れる方向が縦、ギザギザに切れる方向は横となります。

特別な場合を除いて、本を立てた時の上下方向が紙の目に向いている方向になるようにします。そうすることで、ページのめくりやすさや収まりがよくなり、製本の際にとても都合がよくなります。

※手すき和紙、特殊な紙は抄紙方法が異なるので、紙に縦横はありません。

■柔軟性

紙には一定の水分が含まれている(約6%)ので、しなやかで独特の風合いを出します。ズレや曲がりに対して柔軟に対応する一方、乾燥すると硬くもろくなります。また、巻いたり、折り曲げて一定の形にすることも可能です。

■親水性

紙を構成している植物繊維は親水性があるので、湿度が高くなると吸湿し、低くなると放湿し収縮します。紙の伸縮は、シートを構成している1本1本の繊維が伸縮するために起こります。繊維の縦方向の伸縮は少なく、横方向の伸縮は20倍くらいになります。また、湿度変化による影響は1枚の紙と重ねた紙とでは異なります。

4)紙の物性

■白色度

紙の物性を示す1つの数値を白色度といい、紙表面の白さの程度を光の反射率で表します。白色度の数値が高いほど白い紙ということになります。白色度が低くても、人の目には白く見えることもあり、測定による数値と目で見た白さは必ずしも一致しません。また、白くしすぎると光を反射して読みにくくなるので、青や赤の染料が使われることもあります。

■不透明度

紙の物性を示す数値を不透明度といい、光線が紙を透過しない程度を表します。不透明度が低いと印刷された文字や写真が透けて見えてしまうため、印刷用紙に求められる重要な特性となっています。不透明度を高めるためには、パルプの配合やてん料の種類や量を調整するなどの方法をとります。

■紙の強さ

紙の強さは引張強さ、破裂強さ、引裂強さ、耐折強さの数値で表示します。要求される強度は、用途によって異なるので、原料の配合、製造工程の工夫で調整されます。原料は広葉樹より針葉樹の繊維が長くて強いことから、一般的な強度を求める場合は針葉樹パルプを使用します。古紙パルプは繊維が短いので、フレッシュパルプとの混合、てん料の調節で必要な製品強度を確保します。

①引張強さ…一定の大きさの紙に張力を加えて引き、破断する時点の最大付加で表示 ②破裂強さ…紙の一方から圧力をかけ、破裂する時点の圧力で表示 ③引裂強さ…紙を引裂くときの抵抗力 ④耐折強さ…紙を折曲げる時の忍耐性

■紙の保存性

①強度の低下

長期の保存によって強度の低下が見られますが、その要因は紙のPH(酸性度)です。かつて紙を抄造する際は酸性バンドと呼ばれる薬品が使われており、これが紙の強度低下の原因となっていました。最近ではほとんどの紙が中性紙となっているので、保存性には配慮されています。

②褪色

紙は長期保存の過程で、変色する褪色という現象が起こります。褪色を促進する要因に、パルプ繊維内に含まれるリグニンという成分があり、それが紫外線によって化学変化を引き起こし褪色が進みます。リグニンは機械パルプに多く含まれ、化学パルプにはほとんど含まれていません。そのため、機械パルプを多く配合した新聞用紙などは、化学パルプによって作られる上質紙と比較して褪色しやすくなります。

■紙の印刷適性

印刷加工に求められる品質の事を印刷適性と呼びます。印刷にはオフセット、凸版、グラビアなどの様々な方法があり、紙にはそれぞれの印刷方式に応じて、強度・弾力性・インキの受理性が求められ、文字や写真の再現性には、白色度・不透明度・光沢度などが関係します。ユーザーのニーズを受け、近年では少数部数印刷を得意とするオンデマンド印刷機も登場し多様化しています。日本の印刷技術、製造技術の高さは世界でもトップレベルです。今後も製紙技術の発展は印刷品質の安定性を支えていくと予想されます。

5)紙のサイズ

紙のサイズ規格は合理的にJISで決められています。書店に並んでいる雑誌、事務用紙の寸法は「A4判」「B5判」が主流となっています。この寸法は、製品に仕上げた寸法で、紙加工仕上げ寸法と呼ばれています。これに対して断裁に必要な周りの余白を含めたものが原紙寸法です。仕上げ寸法にはA列とB列があります。

■A列

昭和4年にドイツの規格のA系列を取り入れ、国際規格に一致させて規格化されました。A0判の面積は1?でサイズは841×1189?です。タテ:ヨコ=1:√2です。

この長辺を半分にした半裁は594×841で、タテ:ヨコ=1:√2です。以下順に半分にしていけば、全ての相似形がとれる便利な比率となります。

■B列

B0判(1030×1456)はA0の1.5倍の面積で、1:√2の比率になります。コピーの拡大縮小の比率が81.7%、123%などの数字になるのはこのサイズのためです。

【仕上げ寸法表 単位mm】
規格 サイズ 用途 規格 サイズ 用途
A0 841×1189 大判ポスター B0 1030×1456 大判ポスター、図面
A1 594×841 ポスター B1 728×1030 大判ポスター
A2 420×594 ポスター B2 515×728 ポスター
A3 297×420 ポスター B3 364×515 車両吊りポスター
A4 210×297 楽譜、作品集等 B4 257×364 グラフ詩
A5 148×210 雑誌、書籍、教科書 B5 182×257 カタログ、雑誌、地図
A6 105×148 文庫本 B6 128×182 書籍
A7 74×105 ポケット辞書等 B7 91×128 手帳
A8 52×74 スペース B8 61×91 スペース
A9 37×52 スペース B9 45×64 スペース
A10 26×37 スペース B10 32×45 スペース

■紙の面付け

紙の全判1枚から目的のサイズがいくつ取れるかを指します。基本的に全判を半分、さらに半分、これを繰り返し分割していきます。例えばA4判は全判(A1)を8つに分割するので、A全判からA4サイズのチラシを作る時は8枚分取れることになります。このように、チラシや冊子を作る際、面付けを考えた上で用紙サイズを選択することが必要です。

【紙の面付け】

面付け

■その他

JISで定められている原紙寸法は他に四六判、菊判(新聞サイズ)、ハトロン判(包装紙)などがあります。四六判とB6判の書籍は、出版物全体のほぼ30%を占めています。

JISの規格外サイズには、AB判(210×257)、三三判(697×1000)、四六半裁(520×738)、柾判(460×580)、官製ハガキ(100×148)があります。四六半裁、柾判は一般的ではなく、国土地理院が発行する地図のサイズです。

■板紙寸法

紙器用板紙の代表的なサイズにはL判、K判(64×94・東京K判、65×95・大阪K判)、S判、カッター判(61×97)、ブラウス判(56×95)、オープン判(56×64)、食品判(65×80・缶詰類の食品ケースに使用)などがあります。

【紙・板紙の原紙寸法表 単位?】
洋紙の原紙寸法 板紙の原紙寸法
種類 寸法 種類 寸法
A列本判 625×880 L判 800×1100
B列本判 765×1085 K判 640-650×940-950
四六判 788×1091 M判 730×1000
菊判 636×939 F判 650×780
ハトロン紙 900×1200 S判 730×820

※寸法は全て縦目

6)紙の単位

■坪量

米坪とも呼ばれる単位で1平方メートルの紙1枚の重さを表します。g/m2と表示され、重量の単位はグラムです。同じ商品の場合、坪量が大きいほど厚い紙となります。

■連

枚数を表す単位で、紙を扱う際必ず使用されます。1連が一定の寸法に製造された紙1000枚、板紙の場合は100枚のことで、紙の取引の基準となります。

■連量

一定の寸法に作られた紙の1連の重さはキログラムで表示されます。キロごとの価格を多く使用する紙の取引には不可欠な単位です。

・坪量(g/m2)=連量(kg)÷面積(m2/枚)×1000(枚)

・連量(kg)=坪量(g/m2)×面積(m2/枚)×1000(枚)

※板紙の場合は100(枚)

■その他の単位

紙の厚さを表す単位に斤量、連量、目付、束(つか)などがあります。緻密な測定器で紙1枚の厚さを図り、1マイクロメートルは1/1000mmになります。

引っ張った時の強度を表す単位はkN/m(キロニュートン/メートル)、破壊への強さを示す単位はkPa(キロパスカル)も使われます。

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