成功する通販

5.知っておきたい法律

前の文章に戻る

規模に関わらず、商売をしていくには各種法律を遵守することが必要です。 
法を遵守することはお客様を守ることであり、ひいては自分(自社、自店)を守ることにもなります。目先の利益を追求するあまり法に背く販売方法をとるようでは、長期的な運営や事業の拡大を望むことはできません。お客様が信頼できる商品、安心して買い物できる店づくりを目指しましょう。

◇各種法律と権利

まずは、各機関の公式サイトで詳しい情報を確認する必要があります。 
また、法令は改正されることがあるので、定期的にチェックする習慣を持ちましょう。

☆特定商取引法   〔経済産業省商務情報制作局〕

ネットショップのサイトにおいては、この法に基づく表記のためのページを用意する必要があります。お客様に向けての自己紹介であり、堂々と商売をしているという証明にもなるので、正確に記載しておきましょう。

◆「特定商取引法に基づく表記」
販売価格、送料 
代金の支払い時期、方法 
商品の引渡時期 
返品条件 
事業者の氏名(名称)、住所、電話番号 
(事業者が法人の場合は責任者の氏名) 
申込みの有効期限 
販売価格、送料以外に購入者が負担すべき費用がある場合は、その内容および金額
商品に隠れた傷や欠点がある場合で、販売者の責任についての定めがある際はその内容 
ソフトウェアに関する取引である場合には、その動作環境 
商品の販売数量の制限など、特別な販売条件がある場合にはその内容 
請求によりカタログなどを別途送付する場合で、それが有料であるときにはその価格 
電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者のメールアドレス 
※特商法上、事業者からメールDMやメルマガを送る際には、消費者から予め承諾を得ておく必要があります。(承諾の記録を保存しておくこと)

☆クーリングオフ

通販の場合訪問販売とは異なり、購入者の意思をもって売買契約が結ばれるため、クーリングオフ(返品受付)制度は適用されません。 
返品に応じる義務がないとはいえ、返品を認めるか否かを表示する義務はあります。 
お客様の不安を除くためにも、商品によっては返品を受け付けることも必要です。 
トラブルを防ぐためにも、返品条件や方法ははっきりと記載しておきましょう。

☆食品を販売する場合

食品の製造または加工を行う場合、まず保健所から営業許可を得なければなりません。
食品衛生責任者の設置が必要なので、資格取得が必要です。

◆JAS法  〔農林水産省〕
すべての加工食品には「賞味期限」または「消費期限」のうち、どちらかの表示が義務付けられています。
賞味期限 … おいしく食べることができる期限 
消費期限 … 期限を過ぎたら食べない方がよい期限

☆ハンドメイド作品を販売する場合

商品を使用したお客様に不利益が生じたり、危害を与えたりする恐れはないか、作り手は責任を持って品質管理を行い、正しく表示しておかなければなりません。

◆家庭用品品質表示法  〔消費者省〕
日常的に使用する家庭用品について、その品質についてわかりやすく表示することで、消費者が正しく認識して不利益をさけられるようにします。
以下の4項目90品目について、表示法が定められています。 
よく目にするものでは、衣類に付いている洗濯の絵表示もこれにあたります。
・繊維製品    : 衣服、ふとん、タオル など 
・合成樹脂加工品 : 水筒、バケツ、ポリプロピレン製の袋 など 
・電気機械器具  : 掃除機、洗濯機、テレビ など 
・雑貨工業品   : 傘、かばん、台所用石けん など

◆PL法(製造物責任法)〔消費者省〕
製造物の欠陥や破損によって、それを使用した人が怪我を負ったり命の危険にさらされたりしたことが証明された場合、それを作った人(企業)に対して損害賠償を起こせる権利です。

※手作り石けん 
この10年ほどアロマオイルやハーブなど天然素材にこだわった手づくり石けんがブームとなっています。 
顔や体を洗う石けんは「化粧品」扱いとなり、薬事法の対象となります。化粧品製造業と製造販売業(厚生労働省)の許可を得た上で、薬事法に基づく適正な表示をして販売しなければなりません。許可を得るには、薬学知識を持つ製造責任者や設備投資が必要となるため、小規模販売では事実上困難です。
台所用石けんとして販売する場合は「雑貨」扱いになるため薬事法の規制を受けません。 
その際には、他の雑貨と同じく「家庭用品品質表示法」の表示義務に沿った品名と成分表示を行います。

☆輸入商品を販売する場合

◆関税
税関や日本貿易振興機構のサイトをチェックしましょう。

他にも 食品を輸入する場合は「食品輸入届出」、輸入に限らず酒類を扱う場合は「酒版免許など」、 商品の種類によっては、輸入に際して届け出や許可が必要なものもあります。関連省庁に確認しましょう。

☆古物を販売する場合

◆古物商   〔最寄りの警察署〕
古書や骨董、中古CDなど、古物を販売するために必要な許可で、これを保持していないと、古物業者の市にも参加できません。 
「営業地の所在地を管轄する警察署の防犯係」に申請します。

☆同人誌を販売する場合

創作活動をする人は、知っておく必要があります。 
その上で、自己責任において活動していきましょう。

◆著作権
著作者が自らの著作物に持つ権利です。著作物とは「文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するもの」と定義されており、コミックライトノベル、アニメ、ゲームもすべて作者がそれを作ったと当時に著作権は発生します。著作者の許諾なくそれらを利用することはできません。日本では現在のところ、著者の死後50年で消滅します。

◆肖像権
許可なく芸能人や著名人の顔写真を使用すると、肖像権侵害として民法に基づいた差し止めや損害賠償請求を受ける恐れがあります。

☆商標権と意匠権〔特許庁〕

取扱いアイテムに関わらず、ショップ開店に向けて商標やキャラクターを作ろうとする際には理解しておきましょう。また、会心の意匠を作ったら「意匠権」を申請するのもいいでしょう。

◆商標権
「商標」とは、自社商品と他社商品を区別するために作られた文字、図形、記号、立体的形状やこれらの組み合わせに色彩を加えたマークのことです。
商標権とは、事業者がこれを独占的に使用できる知的財産権のひとつです。

◆意匠権
「意匠」とは、もののデザインのことで、意匠法では「物品の形状、模様若しくは色彩またはその結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されています。 
自動的に発生する著作権と異なり、意匠権は特許庁に登録することによって初めて発生する権利です。よって、権利の保持者や発生日などが明確で客観性に優れています。 
また、絶対権であるため「たまたま似てしまった」という言い訳は通用しません。 
動物をモチーフとしたキャラクター作りをする際などには注意が必要です。

◆不正競争防止法〔経済産業庁〕
他社のデザインやブランドの不当流用、営業秘密の不当利用、各種コンテンツの不正コピーの販売、原産地等の不正表示、根拠のない悪評の流布などを防止し、事業者間の公正な競争を促すことを目的とした法律です。

◇クレーム対応

法を遵守し、お客様に誠実であることを心がけていても、商売をしていく上でクレームは必ず発生します。避けて通れないやっかいな問題であると同時に、店をより良く変えることのできる大きなチャンスでもあります。

大きな組織であれば、担当者では対応しきれない場合は専門部署、責任者へと引き継いでいくことができますが、個人ショップではすべてひとりの力で納めなければなりません。 
いかなる場合でも適切な対応ができるように、充分な知識と確固たるポリシーを保持しておきましょう。

◆クレームの現状
ひと昔前までは、大きなクレーム(過大な要求)は、いわゆるクレーマーや団体からの感情的なものがほとんどでした。しかし現在では、ごく一般的な消費者からの理性的なクレームが増加しています。 
その理由としては、消費者の意識向上と、企業への不信感の増加、さらには各種消費者保護法などの法整備が挙げられます。 
今後「消費者契約法」が成立すると、さらにクレーム件数は増加するでしょう。

◆苦情ではなく意見
クレームは「苦情」というマイナスイメージでなく、お客様からの貴重な「意見」として受け止めていく姿勢が大切です。そうすることで、クレームは宝にも似た大切な情報源になります。 
いくらお客様の立場から考えようとしても、気付かなかったこと、想像できなかった穴を、そこに発見することができるでしょう。

◆クレームの分類と対処
クレームとそれに伴う要求の組み合わせは、主に三つのパターンに分かれます。まずは分類してみて、それに合わせて一貫した対処をしていきましょう。
すべてのパターンに共通するのは、最初の充分な聞き取りです。

クレーム対応は、その場を収めれば良いとうものではありません。お客様に対する真摯な姿勢を伝えることが最終的な解決となります。

①正当なクレーム+妥当な要求  
充分な聞き取りで事実確認を行います。 
↓非(不良品、商品の取り違いなど)は潔く認め、謝罪しましょう。 
↓迅速に要求(返品、交換など)に応えます。 
合わせて原因の解明と今後の改善策などを説明することで、誠意を示します。

② 正当なクレーム+不当な要求 
充分な聞き取りで事実確認を行います。 
↓ 非(不良品、商品の取り違いなど)は潔く認め、謝罪しましょう。 
↓不当な要求(過剰な賠償など)はきっぱりと拒否し、妥当な対応策を提案します。 
合わせて原因の解明と今後の改善策などを説明することで、誠意を示します。 
↓提案が受け入れられれば、迅速に応えます。

※同じ種類の正当なクレームには、要求の度合いに関わらず同じ対応をしましょう。 
他人同士であってもネットで容易に情報提供できる時代です。要求次第で対応が 
変わるようでは、店の誠意を感じてはもらえません。

③不当なクレーム+不当な要求
充分な聞き取りで事実確認を行います。 
↓非がない場合はその旨を丁寧に説明しましょう。
非はなくとも誤解を与えうる要因があった場合は、そのことについて謝罪します。
↓不当な要求(過剰な賠償など)はきっぱりと拒否しましょう。

※相手は感情的になっている時もありますが、ペースに巻き込まれないように、冷静かつ丁寧な対応と一貫した態度を貫きましょう。 
電話の場合、相手の言ったことを繰り返す「おうむ返しトーク」も有効です。充分に聞き取っていると感じてもらえれば、言いたいことをすべて言うだけで、 感情の収まる人もいます。 
※誤解から生じたものでなく明らかに不当なクレームの場合、相手はプロである可能性もあります。メールのやりとりを保存するのはもちろん、電話対応となる場合は 予め記録シートを用意しておくなどして、できるだけ詳細な記録を残すようにしましょう。最終的に法に訴えざるを得ない際に証拠となります。

◆クレーム対応の重要性
直接クレームを発信してくるお客様が増加傾向にあるとはいえ、その割合は10分の1程度であると認識しましょう。ひとりのお客様が不満に感じられたことは、あと9人のお客様も同様に不満を感じているということです。

直接クレームを言ってこないお客様は、身近な人にグチをこぼすのと同じような感覚で、ブログに書き込んだりツイッターで呟いたりするかもしれません。それは、直接的なクレームの何倍も恐ろしく、放置すればどんな大企業でもダメージを受けます。 
そういった意味でも、正当なクレームには大きな価値があります。早急な対応と改善に努めることで、お客様の不満や不安を最小限に止めましょう。

前の文章に戻る