マーケティングについて

1.マーケティング【その1】

 昨今、私たちが生活するこの日本、いや、日本だけでなくグローバルな視点からしても市場が量的に飽和状態になりつつあります。どういうことか簡単に説明しますと、≪需要<供給≫という事になっている、ということです。確かに、スーパーなどへ買い物に行っても「こんなもの必要か?」、「こんなに種類いる?」と思うほどいろいろな種類のいろいろな商品が売られています。

 例えば、ヘアーワックスひとつにしても、固い髪用ややわらかい髪用、つや感を出すタイプがあればハードに癖づけ可能なものもあり、ホントにさまざまな多種多様の種類があります。確かに、あれば便利ですが、なくても別に困らないというような商品が市場にはあふれかえっています。

 このような商品があふれかえっている時代状況のことをハーバード・ビジネス・スクールの教授で、経済学者でもあるクレイトン・クリステンセンは『過剰品質(Over specification)』と説明しています。上記では商品をワックスとして、例をあげましたが、例えばこれが私たちが日常よく使用している携帯電話やパソコン、冷蔵庫や洗濯機、もっと言えば空気清浄器などの家庭用電機製品だったらどうなるか、ワックスとはまた違った別の商品で考えてみることにしましょう。

  まず、携帯電話を取り上げてみましょう。携帯電話が、一人一台は持っているという今の世の中のように普及し始めたのは今から約18年前の1995年辺りです。その頃はまだメール機能も無くて、通話に重点を置いたものでした。まだ電波も今のように普及しておらず使いづらいものでした。形も今のものに比べて、大きくて重たくて、電話の子機ほどのものもありました。ただ、携帯電話が普及する前に流行った「ポケットベル」よりも通話できる分便利なものでした。

 さて、今はどうでしょう!?今はスマートフォンというその名の通り、ものすごく利口でかしこいインターネットとの親和性が高い「多機能携帯電話」が出始めました。カメラやお財布機能までついているという当時からすれば、驚きの代物となっています。しかし、その機能を全て自分のものにして、自由自在に使いこなしている人は何割ほどでしょうか?

 同じように、パソコンや冷蔵庫、洗濯機なども、やたらと機能が多くついており、この機能は果たして必要なのか、それならもっとシンプルにして価格を下げてくれたらいいのに・・・と考える人もたくさんいるはずです。

 世界の技術革新に伴って、改良に改良を重ねた結果、家電は今のような大変便利で一度使ったら手放せなくなるような電気製品へと進化を遂げました。進化を遂げ、使いやすく便利になったのは良いのですが、今では私たちが使いこなせない、もっといえば、何に使ったら良いのか使い道がよくわからない機能がやたらたくさん開発され、商品をたくさん売り、利益を上げるために技術開発を重ねてきているはずの企業が、その技術性能をあげることだけに焦点をおき、消費者が実際にほしい、期待している使用力を見失ってしまっている・・・と、「本末転倒!」というような状態なのです。このことを、経営学者であり、流通科学大学の学長である石井淳蔵氏は次のようにわかりやすく説明しておられます。

 『ある時点まで、生活者の期待に及ばなかった技術。それが、生活者の期待を超えるものとなる。そして、生活者自身がその技術をうまく使いこなすという事が出来なくなるほどになる。この状態は、技術が、顧客が期待する(利用できる)レベルを上回っている、つまり「技術性能>顧客」の期待性能であることを意味している』さすが!経営学者だけあり、非常にわかりやすい説明です。

 つまり、このことは、ある時点から顧客の期待より技術性能が上回ってしまっているのに、ある時点以前と以降で同じようなマーケティングのやり方をしているようでは企業や会社としては生き残っていけない、さまざまな手法があるマーケティングを時と場合によって上手に、臨機応変に使いこなしていかないと生き残れない、という事に繋がっていくのでしょう。