OPPという素材について2

5.第十話 おんぶ母さんには「OPPシート」に包まれた夢がある!

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坊主くんがひとり歩きできるようになって、おんぶを卒業して、おしゃべりができるようになって、ちょっとしたお手伝いもできるようになったら……どうしても一緒にしたいことがあります。

 まずは坊主くんと手をつないで、地元のケーキ屋さんでお気に入りのロールケーキを買いに行きます。シンプルなロールケーキが絶品なのです。ふわふわしっとりのスポンジケーキの中には、たっぷりの生クリーム。コクのある濃厚な深い甘みが、控えめながらもグッと主張してくるのです。

 それから、ふたりでスーパーへ向かいます。家族みんなが大好きなイチゴを1パックと生クリームを買います。

 お買い物の最後はお花屋さんです。家族みんなが癒されるブーケを買います。豪華なものでなくていいのです。家にたった一つだけある花瓶は、そんなに大きくありません。小さくて、でも優しくて明るいかわいらしいブーケがいいです。

 さぁ、パーティーの準備です。坊主くんが見守る中、生クリームを泡立てます。くるくるカシャカシャ、生クリームがふわふわになっていく様子に、坊主くん興味津々です。イチゴはきれいに洗って、ヘタを取ります。ここからが緊張の瞬間、泡立てた生クリームでロールケーキにデコレーションをほどこします。買ってきたロールケーキを箱から取り出します。ロールケーキは「OPPシート」にくるまれてツヤツヤと輝いています。そっと「OPPシート」をはがすと、甘いバニラの香りがふんわりと漂ってきます。「OPPシート」にくるまれているおかげでスポンジはしっとり感を保つことができます。だから、「OPPシート」をはがした後は素早く生クリームでコーティングしてあげなければ、お店自慢のしっとりスポンジケーキが台無しです。生クリーム担当はおんぶ母さん。慎重にデコレーションをほどこして……ちょっといびつになってしまいましたが、合格としましょう。

「坊主くん、ケーキを仕上げてちょうだい。」

 イチゴ担当は坊主くん。坊主くんのセンスが問われます。器用にイチゴをつまみあげて、配置に悩みながらケーキにイチゴを載せていきます。

「お母さん、イチゴを切ってちょうだい。」

 小さなパティシエからのリクエストに、イチゴをスライスします。薄切りにしたイチゴも上手に飾って、ローリングショートケーキの完成です。

「坊主くん、花瓶を取ってきてちょうだい。落とさないように気をつけてね!」

 坊主くんが両手で大切そうに持ってきてくれた花瓶に水を注ぎ、買ってきたブーケを飾ります。小さなブーケですが、ピンク、オレンジ色、水色……と鮮やかなパステルカラーの花々が顔をのぞかせています。「OPPシート」で綺麗にラッピングされたブーケ、花瓶に入れるためにはラッピングを外さなければいけません。でも、「OPPシート」に包まれたブーケの状態もかわいらしいのです。

「坊主くん、ブーケを持って椅子に座ってくれるかな?写真を一枚撮っておこうね。」

「OPPシート」に包まれた素敵なブーケを持って、パチリ。それから花瓶に入れ替えて、テーブルの真ん中にお花を飾りました。

あとは主役の帰りを待つだけ……主人のお誕生日パーティーの準備完了です!坊主くんが生まれてからは、どうしても主人のことは後回しになってしまいます。ないがしろにしてしまっていると言っても過言ではありません。せめて、せめて、誕生日くらい目に見える形で愛を表現してあげたいのです。

おんぶ母さんの夢、それは家族の記念日にケーキをデコレーションして楽しんだり、日常とはちょっと違った雰囲気を演出するためにお花を飾ったりして、お祝いをすることです。坊主くんがもう少し大きくなったら夢が現実になるかな、と期待してニヤけてしまいます。

 坊主くんを寝かしつけながらそんなことを妄想していたら、主人が仕事から帰ってきました。その手には……

 「今日は結婚記念日だったね!」

 ロールケーキとミニブーケを買ってきてくれました。主人はいつも一枚うわてです。

 ロールケーキとミニブーケ、家族の記念日をささやかに彩ってくれるアイテムは、「OPPシート」で大切に包まれています。

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