OPPという素材について2

3.第八話 「貴重品袋」今昔物語

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ベビースイミングはじめちゃいました!

 最近新装オープンしたスイミングスクールの前を通ったら、「ベビちゃんと一緒にお水遊びを楽しみましょう!」というポスターが貼ってありました。

主人は泳ぎが得意ですが、わたし自身はわずか5mも泳ぐことができません。どんなに練習しても、誰が指導しても、どうしても泳げないのです。万が一わたしに似てしまったら、と思うととても不安になります。スイミングスクールに問い合わせてみたら、お母さんが泳げなくても心配ないとのことでした。0歳児にスイミングなんて過保護かしらという思い、決して安くはない授業料……しばらく悩みました。でもやっぱり、わたしに似ちゃったら困るんだー!というわけで、思い切って申込んじゃいました!

 ドキドキしながら初授業の日を迎えました。坊主くんをおんぶして、手には水着やタオルなどの水泳グッズをぶら下げてスクールの門をくぐりました。

 さすが新装オープンしたばかりです。明るく清潔感のある受付に進むと、期待が高まってきました。初回なのでロッカールームの使い方やプールまでの道順など、丁寧な説明を受けました。ロッカールームでの貴重品紛失時にはスクールは責任を負わない、というお馴染みの説明を受けた時です。おっとしまった!とおでこを叩きたくなりました。プールに来るときは、小銭入れだけを持って来るのが安全です。なのに普段通り、カードや免許証が入っている長財布を持ってきてしまいました。しかも、指には石の入ったリングをつけてきてしまいました(小さな小さな石ですよ!)。あー、しまったぁ、という顔になっていたのでしょう。スタッフさんが感づいてくれました。

 「貴重品、ありますか? お預かりしますよ。こちらでセキュリティボックスに入れますので、ご安心ください。」

 そう言って「貴重品袋」を渡してくれました。透明なビニールでできていて、「貴重品袋」と大きく印字されています。使い捨てのビニール袋に貴重品を入れて大丈夫かしら、と一瞬不安がよぎりました。ところが、貴重品袋に印字されている使用方法を読みながら手順通りお財布と指輪をしまううちに、その安全性に安心感が湧いてきました。

 2か所の記名欄にサインすると、一方は袋本体に名前が残り、もう一方は切り取られて控えになるのです。受け取り時には、控えに印字された管理番号とサインを、本体に印字された管理番号とサインに照合させるようです。

貴重品を入れてから自分で封をします。貴重品袋についているシールをはがせばテープで封ができます。

「このテープが超強力なんですよ!絶対開けられないんで、ご安心ください。」

スタッフさんが少し笑いながら力説してくれました。封をした後ためしに軽く引っ張ってみました。たしかに、絶対に開けることはできないだろうな、という感触が伝わってきます。これなら信頼して貴重品を預けることができます。

安心して貴重品を管理してもらい、坊主くんとわたしはスイミングを大いにエンジョイしました。坊主くんを抱っこしながらプールの中で歩いたり、水の中で支えながらダンスをさせたり、親子のスキンシップが楽しいひとときです。坊主くんもニッコニコ、顔に水がかかっても嫌がることなく笑い声を上げています。泳げないわたしですが、坊主くんを抱えて水中ウォーキングしているだけなので、問題ありません。わたしもニッコニコです。

他のお母さんたちとおしゃべりしながらロッカールームを後にしました。受付に預けていた「貴重品袋」を返却してもらいます。管理番号とサインの書かれた控えを渡すと、預けた時と全く同じ状態で「貴重品袋」が戻ってきました。お財布も指輪も元のまま、きちんと袋に入っています。中身を取り出すには、「貴重品袋」の下にあるミシン線を切り取るだけ。自分で封をしてから自分で切り取るまで、他者が一切加工することができないように工夫されています。これは安心です!

以前ほかのスイミングプールに行ったときは、貴重品袋と称する布製の巾着を渡されました。かなり年季の入った巾着でしたが、当時は疑問も抱かずにその巾着に貴重品を入れて受付に預けていました。今考えると、かなり大雑把ですね。巾着袋じゃ誰でもすぐ開けられちゃうし。悲しいことに、世の中が不安・不信に満たされてしまい、ぴりぴりムードでセキュリティの重要性が高まっています。だからといってセキュリティにばかり力を入れてしまってはなんだかつまらない世の中になってしまいそうです。この「貴重品袋」は、そのバランスをうまくとっています。一見するとただのビニール製の袋、でも実は絶対に剥がれないテープで封ができて、受け取りには控えが必要……とても信頼性の高いセキュリティグッズなのです。

さて、ベビースイミングをはじめて1か月、坊主くんはますますプールが大好きになってきたようです。そして、わたしは毎週土曜日、坊主くんを主人に預けてレディースクラスに通うことになりました!プールに慣れていく坊主くんに刺激を受けたためです。いつの間にやら坊主くんはわたしが手を放してもプカプカ浮いていられるのではないかと思ってしまうほど上達しているのです。わたしは浮くことすらできないので5mも泳げません。

「泳ぎも人生も、力が入りすぎているんだよ」

という夫の指摘に逆ギレし、二日ほど口をききませんでした。こういうところも力が入りすぎている証拠なんだろうなと反省し、うまく力を抜く方法を体得するためにも水泳を習うことにしました。坊主くんと同じ進度で、まずはひとりで浮くことが目標だね!

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