OPPという素材について2

2.第七話 「OPP」マジックで中古品が新品同様に?!

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地元スーパーのBGMがナイスです。十代の頃によく聴いていたヒットチューンが次々に流れてきます。BGMに合わせてハミングをしていると、背中の坊主くんにとっては子守唄替わりなのでしょう、クタッと眠ってしまいます。買う予定だったものを全てかごに収めたら、レジに向かえばいいものの、一曲丸々聴きたくて曲が終わるまでぶらついてしまうこともあります。そうしていると買う予定のなかったものが目について、買い物かごに追加してしまったり……スーパーの戦略にハマってしまったようです。さて今度こそレジに向かうぞ、と思った矢先に次の曲がかかります。あぁ、初恋の時に聴いていたアノ曲だわ……となってしまうわけです。これではキリがありません!

 いっそのこと、CDを買うことにしました。思い出に浸るのにスーパー頼みでは、あまりにも効率が悪すぎます。家で好きな時に懐メロをかけるほうがよっぽど時間とお金の無駄遣いを減らすことができます。でも、複数のアーティストの曲を聴きたいので、CD代がかさんでしまいそうです。レンタルもいいのですが、せっかくなら当時のジャケット写真や歌詞カードを見ながら胸キュンしたいのです。

CDを安く手に入れるため、中古CDショップで買い求めることにしました。取り急ぎ道すがら見かけたお店に入ってみました……が、滞在時間約10秒でお店を飛び出してしまいました。安くCDを手に入れるために中古品を買い求めるつもりなのですから、ある程度は覚悟していました……ただ、その程度を超えてしまっているといくら値段が安くても手にすることすらできません……入店してぱっと目に入ってきたCDは、ひび割れたケースに入っていました。その隣には、曇ったケースの中に飲み物か何かをこぼしたために一生懸命拭き取ろうとしたらふやけて破けてしまったのであろう歌詞カードがうっすらと見えました。“This is Second-hand”とでも言いましょうか。そりゃそうなのですが。手に取ってじっくり吟味する気分にはなれませんでした。誠に失礼ながら、長居することで背中に張り付いている坊主くんに悪影響が出てしまうのでは、と疑心暗鬼になりそうな雰囲気のお店でした。

新品を買うような贅沢をしたいとは言っていません。ただ、ちょっとだけでもいいから新品を買ったようなすがすがしさを感じたい……贅沢でしょうか。自分が身の丈に合わないことを望んでいるような気がして、肩を落としてしまいました。坊主くんがずっしりと重くなったような気さえして、その日はトボトボと家に帰りました。

家の中でもついつい口ずさんでしまう懐メロ。やっぱりどうしてもCDが欲しい!中古で欲しい!でも清潔なものが欲しい!ネットで地元の中古CDショップを探してみました。どうやらつい先ごろ、最寄り駅の向こう側に中古CD・DVD・ゲームソフトを販売する大型店が新規オープンしたようです。翌日行ってみることにしました。

前日の例があるので、衝撃が少なくて済むよう期待値を押し下げて入店しました。お店の中に入ると……「本当に中古専門ですか?」と尋ねたくなるような雰囲気です!明るい照明の下、新品かと見まごうようなピカピカのCD・DVD・ゲームソフトがずらり。すぐにJ−POPコーナーへ向かいました。お目当てのCDを見つけ、陳列棚から抜き取った時に、中古品でありながら新品に見える理由がわかりました。全ての商品が「OPP袋」に入っているのです。袋の上から中身をよく見ると、たしかにケースに薄い傷がついていたり、「歌詞カード一部欠損」のシールが貼ってあったりします。でも、「OPP袋」に入っている中古品は、一見すると新品となんら変わりません。CD・DVD・ゲームソフトそのもののクオリティが高いことを売りにしているお店なので、中身は問題なく安心して購入できます。ただ、「OPP袋」に入っていることで、中古品を買う時にどうしても生じてしまうアノ抵抗感が消え、全く躊躇することなく直接手にとって吟味することができるのです。どうしても気になるのであれば、買った後にCDを「OPP袋」から取り出して、除菌ウェットティッシュなどで簡単に拭けば全く問題なさそうです。

「OPP袋」のおかげで、とても気持ちよく買い物を楽しめました。幼い子どもを持つ身としては、中古品の衛生面はとても気にかかります。だからと言って、新品でそろえる余裕もなく、中古品に頼りたくなるシーンは少なくありません。ですから、中古販売店は清潔感が重要になります。中古品に対して衛生的に管理しているお店には、購入者への配慮が感じられます。中古品を買うつもりなら元々衛生面なんて気にしていないだろう、と消費者の足元を見るお店は時代遅れです。

家に着くと、早速CDを聴いてみました。中古品とはいえ、「OPP袋」を開ける時はワクワク感が高まります。ピリピリピリっとテープをはがして封を開けると、少しくすんだCDケースが出てきました。若干の傷や汚れは、むしろ元々の持ち主と同じ時代を共有できたようで、中古品ならではの懐かしささえ感じられます。懐メロを聴きながら口ずさんでいると、時折振り付けの記憶がよみがえって自然と体が動きだしてしまいました。坊主くんは嬉しそうに手を叩いています。名曲はこうして歌い継がれていくのですね。

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