広告宣伝ノウハウ

5.売れる広告の作り方テクニック

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① 売れる広告表現を習得、蓄積するコツ

表現・技術の習得方法には、自分の仕事から学ぶ方法と、他社の仕事から学ぶという2つの方法があります。

・自分の仕事から学ぶ方法

自分の仕事から学ぶための基本は、市場での比較と検証です。まず「こうすれば売れるのではないか」という仮説を立て、その仮説に基づいた表現を考えます。次に、考えてみた複数の表現を市場に出し、「売れる表現」と「売れない表現」を把握し、「売れる表現」に集中した広告を展開します。

【具体例】

1.仮説構築

比較するキャッチフレーズを2つ(基本案・対抗案)作り、対応するビジュアルもそれぞれ2つ作ります。

ダイエット食品の広告
1.比較する基本の
キャッチフレーズ
A. 体重が○○キロもダウン マニフェスト案
B. 体重増でお悩みのあなたへ 名指し案
2.対応するビジュアル A1. 笑顔のスリム女性 ハッピー未来図と現実突付け案
A2. 体重ダウンシンボル矢印+笑顔のスリム女性
B1. ぽっちゃり女性の困惑顔
B2. 笑顔のスリム女性

2.比較検証

表現・デザインの比較や検証をする時、その正確さに信頼を置くことができるのが印刷媒体(新聞・チラシ)で行われるスプリット・ランという方法です。印刷をする際、1つの輪転機に複数の版をかけて、同じ地域に配布される同じ新聞にAとBの広告を掲載するのです。通信広告などでよく使われる手法です。

ABの2パターンの表現で、広告コードなどを記載し、レスポンスのあったお客様に対してコールセンターが確認します。反応の大きい広告が売れる広告ということになります。

この方法は、新聞やチラシなどの大量印刷を前提としていますが、少量でも比較は可能です。またPOPなどでも工夫次第で検証はできます。大切なのは思い込みをせず、評価を消費者に問う姿勢といえるでしょう。

3.改善

検証ができたら、売れる表現を活かして、さらに改善させます。最初の比較に乗せることができなかった案などの実力を問うのも1つの方法です。ただし、売れていれば、その調子を継続することを優先にして表現の変更はしない方が得策です。

・他社の仕事から学ぶ方法

他社の表現を時系列順に並べ、その変化を追うことで学ぶことも可能です。「仮説構築→比較検証→改善」は他社でも行われています。長く続いている表現は、売れる表現と考えることができます。

【具体例】

1.新聞折り込みチラシ

スプリット・ランによる表現比較が行われているので、周囲の人々に協力してもらってチラシを集めます。同日配布された商品チラシの表現が、配られた家庭によって違っている可能性は低くありません。後日、異なった表現のうち最もよく売れている表現に絞られた再配布があればこれを見逃さず、生き残った表現のどこが優れているのかを検証していきます。

2.小売店

同じ商品でも、お店が変われば違ったプロモーションが展開されていることはよくあります。どういうツールがどのように使われているのかチェックしましょう。価格や表記方法もチェックすれば深く検証することも可能です。

3.店頭

売れるようにするための表現方法は各店舗によって異なります。POPはもちろん、売り手の声も注意して検証しましょう。

4.通販番組

地上波の通販番組は録画されたものが多く、BS、CSなどの通販番組はリアルタイムのものも多くみられます。生放送という緊張感の中で培われたテクニックを検証しましょう。

② 売れるデザイン

・目線の法則

人の目線は大きな文字の方、濃い色の方に引き寄せられます。文字の流れは左から右・上から下にはスムーズに流れます。つまり、目線の流れがスムーズで楽に読めるレイアウトほど売れる力のあるものと言えます。しかし、チラシや通販広告表現はどうしても情報量が多くなりゴチャゴチャと見えてしまいがちです。情報の流れを整理しながらレイアウトを考えて、目線の法則にかなった表現をしていきましょう。

目線の法則

・価格表示の法則

大きく表示された価格は、価格の大きさに売り手の自信を感じるので、安く感じさせることができます。この手法は小売のチラシや店頭などで日常的に使われています。価格表示は、同じ価格でも表示方法を質的に変えることも可能です。例えば、定価が3,000円、1カ月で消費される商品の場合、1日あたり100円と表記される場合があります。

月々3,000円

1日あたり、わずか100円

どちらを安く感じるのかは消費者1人1人異なるので、信頼感を損なわないように堂々と併記しましょう。

価格表示の法則

③ アンダーライン

自信のある部分にアンダーラインを引き、強調することにより、読み飛ばしを防ぎ、到達スピードを早め、「お得感」「割安感」を感じてもらうことが期待できます。アンダーラインにプラス1色が使えるとより効果的です。

④ 色の組み合わせ

人の気分を高揚させるものとして、カラーリングはとても大きな要素を占めます。

赤→ エネルギッシュで健康な人は、赤色を好む
明るく心地よい、気持ちが強烈に高まる
黄→ 明朗快活で優しく刺激する
純粋・明るい状態では、快適
強烈な時は、明朗になる
青→ 最高に純粋な状態なら刺激する無である
刺激・沈静の矛盾したものを与える

赤と黄は人の気持ちを高揚させる効果があるので、売りたい→「買ってもらう」広告を作るときにとても頼りになるアクションカラーと言えます。同じ構成の場合、アクションカラーを使用した表現の方が、より買ってもらえる成果を上げられるでしょう。ただし、広告の中にはロゴや写真など、他にも使用する必要のあるものがあるので、コア部分を守りながら色彩計画を立てましょう。

⑤ キャッチフレーズ

広告表現に最も影響を与えるのはキャッチフレーズといえます。しかし同じ商品でも、「覚えてもらう」広告媒体と「買ってもらう」広告媒体とではキャッチフレーズの評価も変わってきます。

新聞・TV・雑誌などのマスメディアを通じて覚えてもらう広告の場合は「覚えてもらう」→「買ってもらう」というツーステップのコミュニケーションをとるので考えさせる・イメージさせるなどのひっかかりのあるキャッチフレーズが有効といえます。

しかし、店頭POPや通販広告の場合は、今すぐ「買ってもらう」広告です。ワンステップのコミュニケーションなのでストレートな表現でスムーズに理解してもらわなければなりません。

・効果が実感できるキャッチフレーズ

その商品を使用すると、どんなメリットが実感できるのかを表現する方法は、キャッチフレーズの王道とも言えます。消費者の言葉に置き換えて、ひっかかりのない(抽象的でない)具体的な言葉で表現します。そしてその商品を使用して実感できるメリットを分かりやすい言葉で伝えましょう。

例えば、洗剤のキャッチフレーズを考えてみます。

「まっさらな白へ」

このキャッチフレーズはマスメディアを通して「覚えてもらう」ためとしては悪くありません。抽象的なフレーズなので、そのひっかかりがどういう意味なのか考えさせ、記憶に留めるからです。ひっかかり→考えさせる→記憶してもらうという意味では有効だと言えます。

しかし、店頭POPなどの場合は「買ってもらう」ことが重要なので、納得・購入という短時間での理解が求められます。ワンステップのコミュニケーションとしては、ひっかかりがマイナスの効果をもたらしてしまいます。その商品を買えばどう実感できるのか、まずは自分の立場に置き換えた表現にしてみましょう。

「まっさらな白!これだ!!」
「これがまっさらな白さだ!」

そして、一番素直にキレイになった洗濯物を褒めるときの言葉を導入してみると

「あ、汚れたシャツがまっ白に!!」
「ほんとに、まっ白に!」

となります。楽に、スムーズに理解できる言葉で伝えましょう。

効果が実感できるキャッチフレーズ

・名指しするキャッチフレーズ

名指しすることにより、リアルターゲットにメッセージを感じてもらいやすくなります。

商品が健康食品なら

「最近、疲れを感じるあなたへ」

ベビー用品なら

「もうすぐパパ・ママになる方へ」

しかし、名指しすると意識していない人が全く興味を示さないという懸念が生じます。「名指し」が有効な手法である理由は1人に買ってもらうという点にあります。

「覚えてもらう」→「買ってもらう」というツーステップはみなさまに訴えるものです。みなさまの中にはすぐには買ってもらえない人の方が多いので、好意度を上げる効果、購買後の満足度アップなどの役割に重点が置かれます。

それに対して、ワンステップは「買ってもらう」ことを目的としています。つまり「名指し」アクションをつけることにより、リアルターゲットへの集中度が高まるため、買ってもらえる1人が絞れるのです。

・褒めるキャッチフレーズ

人が積極的に買おうと思うのは、購入前から気分がよくなっているか、その購入によって気分がよくなることが想像できる場合です。その場で「買ってもらう」ための表現では、相手に気持ち良くなってもらう工夫が必要です。「褒める」という方法は「名指し」と併用されることが多い手法です。

「あなた様への特別な御案内です」

DMなどで使われる手法ですが、「あなた様」という言い回しで特別な存在という「褒め」が読み取れます。

・ひらがな表記・わかりやすい表現

チラシや雑誌に申し込みハガキが添付されていることがありますが、切手を貼らずに投函できるものもあります。料金受取人払郵便と記載されているので大抵の人は切手がいらないと判断できます。しかし印刷されたスタンプの下に「切手不要」と添えてあれば、一瞬で切手を貼る必要がないことが理解できます。

同様に、封筒DMなどの開封部分に「開封口」「キリトリ線」などのコメントがあると、開封を促す効果もあります。

このように分かりやすく表記・表現することは、相手の理解がスムーズになるため「買ってもらう」→「売れる」度をアップさせる効果があると言えるでしょう。

⑥ 納得してもらう構成テクニック

・ビフォー・アフター

ある商品の使用で「悪い状態」→「よい状態」への移行が可能となることを明らかに表示するテクニックは、広告の原点ともいえる表現です。

「どうしても上がらなかった成績が、ほら、こんなに…」

など、学習塾の広告はこの手法を用いており、通信教育や教育教材などでもよく使われています。

「以前のパパは疲れて見えたけど、○○でとても元気になりました」

健康食品、旅行など、いずれもビフォー・アフターで表現され、効果がわかりやすいので、消費者の心を動かしやすくします。

・Q&A

話を分かりやすくし、説得力のあるものにするためにQ&Aもよく使われる方法です。新聞・雑誌・チラシなどではストレートにQ&Aを展開し、店頭販売などのパフォーマンス・TVCMなどでは掛け合い方式で展開されます。

Q「どうしてこんなにおいしいの?」

A「それはね、○○だから!」

Qは消費者の立場に立った質問で、Aはそれに応える形で展開していきます。ユーザーの納得が高まり「それなら買ってみようかな」という決断へ導きやすくなります。

・お客様の声

「お客様の声」も「買ってもらう」ためによく使われます。TVCMなどでは2~3人、新聞・雑誌などの広告だと3人~5人、これくらいが最もよく読まれる量です。「クチコミ」でも異なる数人から良い評判を聞くと、ほとんどの人がそれを信じる傾向があります。「お客様の声」はこのような心理に対応した「買ってもらう」ための表現と言え、周囲への波及効果が期待できる手法といえます。

・限定テクニック

買おうかどうしようか…、気持ちが傾いている時に最後のひと押しをしてくれるのが「限定」テクニックです。プレゼントや割引などのサービスが効果を上げることも多々ありますが、そうした「お得」を毎回続ければ、その効力は徐々に弱くなっていきます。

「限定○○個」「先着○○名様」「いまなら○○」「○月○日まで」「残りあとわずか!」

基本的な限定コピーですが、状況によって活用すれば効果が期待できるでしょう。

どのような広告でも、広告はビジネスの基本といえます。企業が商品やサービスを幅広く販売していくためには、その商品の情報や存在を消費者に知ってもらう必要があるからです。特に日用品やコンシューマ向け(消費者向けの意味⇔企業向け・ビジネス向け)ビジネスでは、できるだけ多くの人に商品メッセージを伝えることが不可欠です。

広告について、作る側から考えてみると「どこへ出すのか」というよりも、「誰に出すのか」という視点でとらえることが大切です。消費者の変化を把握しながら、広告ネットワークを構築して、効率よく効果のある広告作りをしていきましょう。

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